骨髓こつずゐ)” の例文
新字:骨髄
ズボリと踏込ふみこんだ一息ひといきあひだは、つめた骨髓こつずゐてつするのですが、いきほひよく歩行あるいてるうちにはあたゝかります、ほか/\するくらゐです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
拙者切腹を仰せ付けられなかつたのが、見付けものと言つて宜いくらゐ。いや、この怨み骨髓こつずゐてつして忘れる隙もない、いづれは叩き斬つて溜飮を下げるつもりで居た拙者だ。
働くにぞ大膳は元來短氣たんきの性質なれば無念むねん骨髓こつずゐてつすれども伊賀亮が戒めしは此所ここなりと憤怒ふんどこらへ居たりける斯て八山の天一坊が行列には眞先に葵の紋を染出せし萌黄純子もえぎどんす油箪ゆたん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれさへあらずば無事ぶじなるべきにと、各々おの/\わがいのちをしあまりに、そのほつするにいたるまで、怨恨うらみ骨髓こつずゐてつして、法華僧ほつけそうにくへり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その節藏の係をして居た拙者が役目の落度で長のいとまと相成り、無念骨髓こつずゐてつして、伊八の跡をつけ廻して居るが、何處に隱したか見付ける工夫がなく、しかとした證據もないので
殺害に及びしなどとはゆめにも知らぬ無實むじつの難にて入牢なし其事故の分明あきらかわからぬ内に情無なさけなくも牢死に及びける故遂に死人に口なしとて悉皆こと/″\く長庵の佞辯ねいべんにより種々いろ/\言廻いひまはされをつと道十郎の罪科ざいくわとは定まりし事無念骨髓こつずゐとほり女ながらも再度ふたゝびねがひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
與七が怨み骨髓こつずゐてつするのはそのためだつたのです。