骨折ほねをり)” の例文
彼等は渡り鳥のやうにぱつとちらばつて社会の各方面に飛び込むだが、卒業証書が何よりもよく物を言ふ社会では、彼らの骨折ほねをりは一通りで無かつた。
お前は、あの人に思ひ切つて口を利くことも、あの人のゐる所を探すことも出來はしない。お前は無駄な骨折ほねをりをしてるのだ。この上行かない方がいゝ。
……さよなら。眞實しんじつつくしておくりゃれ、きっと骨折ほねをりむくひはせう。さらば。ひめよろしうつたへてくだされ。
塩鯛の歯ぐきも寒し魚のたな。此句、翁曰、心づかひせずと句になるものを、自讃に足らずとなり。又かまくらをいきて出でけん初松魚はつがつをと云ふこそ心の骨折ほねをり人の知らぬ所なり。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ましてそこには人知れぬ非常な苦心骨折ほねをりがあり、ひよつとすると命のあぶないやうな危險にも出會はなければならず、世間の人達からは妙に無氣味らしい眼を向けられるとふやうなわけ
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たゞさずして離縁なすは百五十兩の金皆々樣の御骨折ほねをりにて我が手にもどりしよろこびなれば申し分もこれなきことなりおはやどの現在げんざい叔母に候あひだ私しが養育やういく申べし夫共お梅の方へ參りたくは夫程の手當てあて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
金兵衛きんべゑさん色々いろ/\骨折ほねをり、誠に御苦労様ごくらうさま
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
僕は基督教徒といふ農夫に、耕作の事業が命じられたその土地が不毛ふまうで未開墾であればある程——彼の骨折ほねをりに對する報酬が少なければ少ない程——榮譽は高くなると思ふのです。
つれて丁字屋へ出かけしが先兩三日は目見めみえに差置さしおく樣にとの事なれば其まゝに差置て長庵は歸りける丁字屋にてはお文が容子ようすたれあつ田舍娘ゐなかむすめと見る者なく傍輩はうばい娼妓しやうぎはづるばかりなれば流石さすがに長庵が骨折ほねをりあらはれし所にて在所に在し其時とは親の十兵衞さへも見違みちがへる程なれば主人半藏方にても十分氣にいりお文へ何故に身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かたぶけ是は/\何方いづかたより御越にや何處の御方樣にて候ひしか御病人なるや又御見舞みまひに上りますのでござるかと思ひも寄らぬ挨拶に千太郎は長庵がたはむれにやと思ひけれどもなほ叮嚀ていねいによもやお見忘れはなさるまじ私しは伊勢屋五兵衞の養子せがれ千太郎にて候なり段々と小夜衣がとこに付いてはお骨折ほねをりなにとも有難くぞんじ奉つる夫れ付き今日は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)