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驛路
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えきろ
あつた
所でございますか? それは
山科の
驛路からは、四五
町程隔たつて
居りませう。
竹の
中に
痩せ
杉の
交つた、
人氣のない
所でございます。
疾や
遲しと待居たり然るに
曉寅刻頃とも思ふ頃
遙かに聞ゆる
驛路の
鈴の
音馬士唄の
聲高々と來掛る
挑灯を
驛路の
馬の
鈴の
音、しやんと
來る
道筋ながら、
時世といひ、
大晦日、
道中寂りとして、
兩側に
廂を
並ぶる
商賈の
家、
薪を
揃へて
根占にしたる、
門松を
早や
建て
連ねて、
歳の
神を
送るといふ
が、あの
山科の
驛路では、とてもそんな
事は
出來ません。そこでわたしは
山の
中へ、あの
夫婦をつれこむ
工夫をしました。