頭字かしらじ)” の例文
だが、よく見ると、その門に書いてあるのは、甚だ宝蔵院とまぎらわしい名で「奥蔵院」としてあるのである。頭字かしらじが一つ違っている。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しかし、広い東京には、R・Kという頭字かしらじの人間が、無数にいるでしょうから、この持主を探し出すのは容易のことではありませんね」
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「さあ、何か存じません、待合さんかも、それは分りませんが、てんでてまえの方で伺う気はござりませなんで、頭字かしらじも覚えませぬよ、はい。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蓋には「B.」という頭字かしらじ烙鉄やきがねで烙印してあった。永い間手荒く扱われたためか角は幾分ひしゃげて壊れていた。
その着物のうち二まいまでは、エフデー、すなわちフランシス・ドリスコルの頭字かしらじがついていたが、それはおまえをぬすんだ女が切り取ってしまったそうだ。
僕はフランスの敵たるプロシヤの頭を打ちぬくといふ意味で、その頭字かしらじペーを射ぬいてみせよう!
風変りな決闘 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
そこを訪れる若い人達は、みんなその水車の柔い、だん/\朽ちてゆく木に、自分の名前の頭字かしらじりつけて行つた。せきは一部分こはされて、清らかな山の流れは、岩の川床を流れ落ちた。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
劣等の八坂神社に合祀して三社の頭字かしらじを集めて八立稲やたていね神社と称せしめたるも、西の王子の氏子承知せず、他大字と絶交し一同社費を納めず、監獄へ入れると脅すも、入れるなら本望なり
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
「さあ……手前共では特別にMの字をよく仕入れますが、いくら仕入れましても無くなりますので……Mという頭字かしらじの付くお名前の方が余計においでになるからでも御座いましょうか、エヘヘヘ」
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
公証人氏は安ピカの、頭字かしらじ入のメタルに見入つてゐる際中さなか
え、ロミオと萬迭香ローヅメリとは、頭字かしらじおなじかいな?
また魚とならば、御子みこ頭字かしらじかたどりもし
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
Aiアイあい)の頭字かしらじ、片仮名と
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
のみを眼のそばへ寄せて——「源という字が片彫かたぼりしてあるが、こちらのお職人で、そういう頭字かしらじのつく人がおりましょうかね」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その際に、記帳の都合上、いつも何千というカードを、職工の姓名の頭字かしらじで(いろは)順に仕訳しわけをする必要があるのです。
算盤が恋を語る話 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
柔肌やわはだに食い入るばかり、金金具かなぐで留めた天鵝絨びろうど腕守うでまもり、内証で神月の頭字かしらじ一字、神というのが彫ってある。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また魚とならば、御子みこ頭字かしらじかたどりもし
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
その偽物の像の裏にエルの記号が記してありました。日本人にLの頭字かしらじを持った人名はありません。アルセーヌ・ルパンでなくて誰でしょう。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
元服前の小童は、それを呼ぶのに、女子のように、名の頭字かしらじに「お」をつけて、市松を於市おいちとか、虎之助を略して於虎という風によぶのは、その頃のならわしだった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「私は今までどうしても、この組合せ文字の意味が分らなかったのです」田中が云うのですね「Sは成る程すみ子の頭字かしらじかも知れませんが、Iの方は、 ...
モノグラム (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「少年」と「探偵」にあたる英語の頭字かしらじBとDとの組み合わせ文字で、百円銀貨ほどの大きさのなまりのメダルをたくさんこしらえさせ、団員が、めいめい三十枚ずつほど持っている
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
国枝判事はそれとなく気をいた。手紙の差出人のKというのが、幸吉の頭字かしらじに一致するし、許婚からの手紙なら、娘が直様すぐさまその呼出しに応じたのも無理ではないと思われたからだ。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)