頒布はんぷ)” の例文
美濃紙みのがみ八枚どり大に刷った大黒天像を二枚ひとつつみにし、しかるべき有縁無縁うえんむえん善男善女ぜんなんぜんにょの家にひそかに頒布はんぷするもので、添書そえがき
暦本れきほん頒布はんぷもまだ十分でなかった時代から、掛軸や壁にるような絵像えぞうだけは、需要があったと見えて遠い田舎までも配られていた。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
昨年三月神祇院じんぎいんで印刷に附して関係者に頒布はんぷせられたが、今回書肆しょしの請により同院の許しを得て新たに刊行したものである。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
フィンランドの国民的な音楽家、フィンランド政府の庇護ひごは至れり尽せりで、レコード吹込み頒布はんぷにまで補助していた。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
目安箱めやすばこの設置、出板しゅっぱん条例の頒布はんぷ、戸籍法の改正、郵便制の開始なぞは皆その時代に行なわれた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
官衙かんがや学校へあまねく配布されたばかりでなく、自分自身で木魚をたたいて、その祭文歌を唄いながら、その祭文歌を印刷したパンフレットを民衆に頒布はんぷしてわられたのです
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
の雑誌も九号くがうまでは続きましたが、依様やはり十号からよくが出て、会員に頒布はんぷするくらゐでは面白おもしろくないから、あたひやすくしてさかん売出うりだして見やうとふので、今度こんどは四六ばい大形おほがたにして、十二ページでしたか
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
過去の傑作を廉価に頒布はんぷするのは、現存作家の商売品にたいする不公平な競争であって、それに対抗するために、過去の傑作には重税を課するという有効な政府の保護を、彼らは要求していた。
右の如く昔は歳初と春初と区別あるが如くなきが如く曖昧に過ぎ来りしが明治に至り陽暦の頒布はんぷと共に陰暦は公式上廃せられたれば両者は断然と区別せられて一月一日は毎年冬季中に来る者と定まれり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ほかに日本ポリドールが数年前名曲鑑賞会からアマール・ヒンデミット四重奏団の演奏した「弦楽四重奏曲第二番」を頒布はんぷしたことがある(ポリドール四五一五七—六〇)。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
一冊いつさつの本を三四十人して見るのでは一人ひとり一日いちにちとしても一月余ひとつきよかゝるので、これでは奈何どうもならぬとふので、じゆくしたのであるから、印行いんかうして頒布はんぷする事にたいとせつ我々われ/\三名さんめいあひだおこつた
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)