錫蘭セイロン)” の例文
馬また象と駱駝をおそれ(ヘロドトス、一巻八十章、テンネント『錫蘭セイロン博物志』二章参照)、蒙古の小馬ポニーや騾はひどく駱駝を怖れる故専ら夜旅させ
自分は錫蘭セイロンで、赤い格子縞かうしじまの布を、頭と腰とに巻き附けた男に、美しい、青い翼の鳥を買はせられた。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
錫蘭セイロン島——東洋の真珠——は、その風光の美と豊富さにおいて、他にこれを凌駕りょうがするものなし。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
学士は当時英国留学中であったが、病弱な体躯たいくひっさげて一行に加わり、印度内地及び錫蘭セイロンに於ける阿育王あいくおうの遺跡なぞを探り、更に英国の方へ引返して行く途中で客死した。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
錫蘭セイロンルビイ、錫蘭セイロンダイヤ、エメラルド、見切りて安くあきなはんと云ひつつ客を追ひ歩きさふら商人あきびとは、客室サロンの中にまで満ち申し、ところもあらぬまゝ一隅いちぐうちさく腰掛けれるに
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
変えて西蔵チベット国民ばかりでなく原始仏教の信仰者——トルキスタン人や錫蘭セイロン島人やボハラ人や暹羅シャム人やキルギド人達の信者に依って極楽浄土の象徴かのように崇められるだけの美観うつくしさを
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鸚鵡は多年らしてあつて、土地の言語はもとよりだし、瓜哇ジャワ勃泥亜ボルネオなまりから、馬尼剌マニラ錫蘭セイロン沢山たんとだなかつた、英吉利イギリスの語も使つて、其は……怜悧りこうな娘をはじめ、誰にも、よく解るのに
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
或は錫蘭セイロン島だといい、いや、架空の表現なのだとか、いろいろ議論がありますものの、大体北方の哲学の胚種はいしゅが、後世文化の発達した、これ等南の海洋の気を受けた土地に出て来て、伸々と芽を吹き
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
カナリース族は矮の本名を言わずベンガルでは必ず虎を外叔父ははかたのおじと唱う(リウィス『錫蘭セイロン俗伝』)。
タミル人は、この錫蘭セイロン島の奥地からマドラスの北部へかけて、彼らの熱愛する古式な長袖着キャフタンと、真鍮しんちゅう製の水甕みずがめと、金いろの腕輪とを大事にして、まるで瘤牛ジイプのように山野に群棲ぐんせいしていた。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
鸚鵡あうむ多年たねんらしてあつて、土地とち言語げんごもとよりだし、瓜哇ジヤワ勃泥亞ボルネヲなまりから、馬尼剌マニラ錫蘭セイロン澤山たんとだなかつた、英吉利イギリス使つかつて、それは……怜悧りこうむすめをはじめ、だれにも、よくわかるのに
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
テンネントの『錫蘭セイロン博物誌』にいわく、インド人はハヌマン猴が殺された処に住む人はやがて死ぬばかりか、その骨を埋めた地上に家建てても繁昌せぬと信じ、必ずまず術士を招き