しゅう)” の例文
と、寺へ駈け込んで、一夜に髪をりこぼち、きのうの具足太刀を、数珠ずず法衣ころもに着かえて、どこまでも命を保とうとした醜類中のしゅうもあったが
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでいて、その曲線達に加えられた不可思議なる人工的交錯は、しゅうを絶して、不協和音ばかりの、異様に美しい大管絃楽を奏しているのでありました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まして市郎の為に、最初はじめは靴で額を蹴破られ、次に石を以て真向まっこう打割うちわられ、最後には味方の石によって顔一面を砕かれたのであるから、肉は砕け、骨はあらわれて、しゅうかい
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかるにそれが年頃としごろになると、この自覚を感じ、人の前に出ると恥かしくなり、ことに婦人の前に出ると、前に述べたる生理上の関係のみならず、容貌ようぼうしゅうなるを恥じて気が弱くなる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
夫人南子なんしはつとに淫奔いんぽんの噂が高い。まだそうの公女だった頃異母兄のちょうという有名な美男と通じていたが、衛侯の夫人となってからもなお宋朝を衛に呼び大夫に任じてこれとしゅう関係を続けている。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「仏の国においては美としゅうとの二がないのである」と。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
愛にって しゅうを知らず。(下略)
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
祝着しゅうちゃく祝着。新田の件といい、忍び上洛のことといい、これでまずお上の御不審も解け、幕府御家人のしゅうをも世間へ見せずにすんだ。高氏どの、何を
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とあたかも彼の容貌ようぼうしゅうなりしことが、最大の罪悪でありしがごとく述べた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
わらふ可し しゅういよいよ張る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
およそ、人間が住み、人間が営む世間に、伯耆どのがみ嫌う人間のしゅうなるものが、まったく、ここにはないなどという別天地があるわけはない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼自身は理由をたてて、みずからのしゅうに良心の目をふさごうとしたではあろうが、明らかに彼はすでに家門の名も生涯も利に売った人間と成り下がっていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
修養にも幾年月の苦行をえてするのであるが、これも到底、生半可なまはんかでは、いざという大事なときに、鎌田新介のようなしゅうを演じないとはなかなか云いきれない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋を——女への仏弟子ぶつでしのそういう態度を、極端に冷蔑れいべつし、むしろしゅうにさえ考えている三人には、石念のそれからの挙動が、ことごとにおかしくて、馬鹿らしくて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわち彼は、檻車の中に囚えてきた范疆、張達の二しゅうに添うるに、なお沈香の銘木で作ったはこ塩浸しおびたしとした張飛の首を封じ、併せて、蜀帝玄徳の前にさし出した。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それと矛盾むじゅんしている無数のしゅうが隠されていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、二しゅう
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)