)” の例文
木村に言ったわけでもないらしいが、犬塚の顔が差し当り木村の方に向いているので、木村は箸をめて、「無政府主義者ですか」と云った。
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
而るを誰とともにか之をえん。且つなんじその人をくるの士に従わんより、豈に世をくるの士に従うに若かんやと。ゆうしてまず。子路行きて以て告ぐ。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
古老こらうまゆひそめ、壯者さうしやうでやくし、嗚呼あゝ兒等こら不祥ふしやうなり。めよ、めよ、なんきみ細石さゞれいしことぶかざる!
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大異はもう食事するのをめていた。不思議な鴉の容子を見ていた大異の眼は、すぐ左の方の鴉の群の廻っている所に、四つばかり干からびた死骸のあるのを見つけた。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「おめえは酔っているようだ。早く帰らッせえよ。」と、七兵衛はほうきめてみかえった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
弟子達の困憊こんぱい恐惶きょうこうとの間に在って孔子は独り気力少しもおとろえず、平生通り絃歌してまない。従者等の疲憊ひはいを見るに見かねた子路が、いささか色をして、絃歌する孔子のそばに行った。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
しこうして礼をたっとび学を重んじ、百ぼううち、手に書をめず、孔子のおしえを篤信し、は誠に万世の師なりと称して、衷心より之を尊び仰ぎ、施政の大綱、必ずこれに依拠し、又蚤歳そうさいにして仏理に通じ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いけ年をつかまつってもとかく人真似まねめられぬもの、ましてや小供といううちにもお勢は根生ねおい軽躁者おいそれものなれば尚更なおさら倐忽たちまちその娘に薫陶かぶれて、起居挙動たちいふるまいから物の言いざままでそれに似せ、急に三味線しゃみせん擲却ほうりだして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
歌聲むも束の間、おもへばげに
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
歌の声は消えるようにんだ。趙は夢の覚めたようにして愛卿の側へ往った。
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それは生まれ落ちるときからめずに泣いているものであった。
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)