トップ
>
蹴躓
>
けつまず
ふりがな文庫
“
蹴躓
(
けつまず
)” の例文
惣助は盥のまわりをはげしくうろついて歩き、とうとう盥に
蹴躓
(
けつまず
)
いて盥のお湯を土間いちめんにおびただしくぶちまけ母者人に叱られた。
ロマネスク
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかし、これには、絨毯に
蹴躓
(
けつまず
)
いたり、出口のつもりで書棚の
硝子
(
ガラス
)
戸に手をやったりしないように、大変な注意を要します。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
盲目聾
(
めくらつんぼ
)
で気にはしないが、ちと商売人の端くれで、いささか心得のある
対手
(
あいて
)
だと、トンと一つ打たれただけで、もう声が
引掛
(
ひっかか
)
って、節が
不状
(
ぶざま
)
に
蹴躓
(
けつまず
)
く。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
証人の上がる壇に
蹴躓
(
けつまず
)
いたりするのも自然らしく見えた。これは勿論同じことを毎日繰返しているのである。
初冬の日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
大げさに一つぽっくりと礼をばするや否や、飛石に
蹴躓
(
けつまず
)
きながら駈け出してわが家に帰り、帰ったと一言女房にも云わず、いきなりに雛形持ち出して人を頼み
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
永い道中、女の小智に
翻弄
(
ほんろう
)
されて
蹴躓
(
けつまず
)
くごとに、彼は、そのみじめな狼狽の舌打ちを重ねて来た。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その愚かな奴らは陸へ上るや否や宝に
蹴躓
(
けつまず
)
いて
向脛
(
むこうずね
)
をへし折るくらいに思っていたに違いない。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
重い大きな物に
蹴躓
(
けつまず
)
いてあっと思うと諸に転んだ、町の真中に寝ているやつがある。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
雨水で
凹
(
くぼ
)
んだ路が、草むらの中に入り乱れている、時々大石に
蹴躓
(
けつまず
)
いては、爪を痛める、熊笹が人より高くなって、掻き分けて行くと、
刎
(
は
)
ねかえりざまに顔をぴしゃりと打つ、笹のざわつくたびに
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
彼
(
あ
)
の時おれは一生懸命本堂へ逃げ
上
(
あが
)
ったが、本堂の様子が分らねえから、木魚に
蹴躓
(
けつまず
)
いてがら/\音がしたので、驚いて跡から
追掛
(
おっか
)
けるのかと思ったが、
然
(
そ
)
うじゃアないので、又逃げようとすると
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
アイスクリームか、ぶっかきか、よくも見ないで、すたすた、どかどか、がらん、うしろを見られる極りの悪さに、とッつき玄関の植込の敷石に
蹴躓
(
けつまず
)
いて、ひょろ、ひょろ。……
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「来なくってもいい。俺の家は吉原という
白粉
(
おしろい
)
の街だ。てめえのような聖人君子は、足ぶみするな……もし
過
(
あやま
)
って、てめえが、俺のような
蹴躓
(
けつまず
)
きをしてみやがれ、気の毒だが
幇間
(
たいこもち
)
もできやしねえ!」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
○「其の女が
蹴躓
(
けつまず
)
きやアがったんで」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
謀叛人
(
むほんにん
)
が降つて湧いて、
二
(
に
)
の
丸
(
まる
)
へ
取詰
(
とりつ
)
めたやうな騒動だ。将軍の
住居
(
すまい
)
は大奥まで
湧上
(
わきあが
)
つた。
長袴
(
ながばかま
)
は
辷
(
すべ
)
る、
上下
(
かみしも
)
は
蹴躓
(
けつまず
)
く、
茶坊主
(
ちゃぼうず
)
は転ぶ、女中は泣く。
追取刀
(
おっとりがたな
)
、
槍
(
やり
)
、
薙刀
(
なぎなた
)
。そのうち騎馬で
乗出
(
のりだ
)
した。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御迷惑。」と口も足も、学士は
蹴躓
(
けつまず
)
いたようであった。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹴
常用漢字
中学
部首:⾜
19画
躓
漢検1級
部首:⾜
22画
“蹴”で始まる語句
蹴
蹴出
蹴飛
蹴落
蹴上
蹴鞠
蹴散
蹴立
蹴込
蹴倒