“言出(いひい)” の例文
これを言出(いひい)でたるのち、命(いのち)を終(をは)り、又これを言出でたるあとは、頭(かしら)を胸に俛(た)れて、宛(あたか)も老僧が聖祭(せいさい)を行ひつゝ絶命する如くならむ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
暫(しばら)く話の絶えける間(ひま)に荒尾は何をか打案ずる体(てい)にて、その目を空(むなし)く見据ゑつつ漫語(そぞろごと)のやうに言出(いひい)でたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
口の端(はた)むず/\するまで言出(いひい)だしたさに堪(たへ)ざれども、怪しき婦人が予を戒(いまし)め、人に勿(な)謂(い)ひそと謂へりしが耳許(みゝもと)に残り居(を)りて、語出(かたりい)でむと欲する都度(つど)、おのれ忘れしか、秘密を漏らさば
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
悼(いた)まぬならねど主(しゆ)の身(み)の上(うへ)猶(なほ)さらに氣(き)づかはしく陰(かげ)になり日向(ひなた)になり意見(いけん)の數々(かず/\)貫(つらぬ)きてや今日(けふ)此頃(このごろ)の袖(そで)のけしき涙(なみだ)も心(こゝろ)も晴(は)れゆきて縁(えん)にもつくべし嫁(よめ)にも行(ゆ)かんと言出(いひい)でし詞(ことば)に心(こゝろ)うれしく七年越(しちねんご)しの苦(く)も消(き)えて夢安(ゆめやす)らかに寢(ね)る夜(よ)幾夜(いくよ)ある明方(あけがた)の風(かぜ)あらく枕(まくら)ひいやりとして眼覺(めさむ)れば縁側(えんがは)の雨戸(あまど)一枚(いちまい)はづれて並(なら)べし床(とこ)は
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)