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言出
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いひい
これを
言出でたるのち、
命を
終り、又これを言出でたるあとは、
頭を胸に
俛れて、
宛も老僧が
聖祭を行ひつゝ絶命する如くならむ。
暫く話の絶えける
間に荒尾は何をか打案ずる
体にて、その目を
空く見据ゑつつ
漫語のやうに
言出でたり。
口の
端むず/\するまで
言出だしたさに
堪ざれども、怪しき婦人が予を
戒め、人に
勿謂ひそと謂へりしが
耳許に残り
居りて、
語出でむと欲する
都度、おのれ忘れしか、秘密を漏らさば
悼まぬならねど
主の
身の
上猶さらに
氣づかはしく
陰になり
日向になり
意見の
數々貫きてや
今日此頃の
袖のけしき
涙も
心も
晴れゆきて
縁にもつくべし
嫁にも
行かんと
言出でし
詞に
心うれしく
七年越しの
苦も
消えて
夢安らかに
寢る
夜幾夜ある
明方の
風あらく
枕ひいやりとして
眼覺れば
縁側の
雨戸一枚はづれて
並べし
床は