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覺醒
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かくせい
吾々は
覺醒せりと
叫ぶひまに、私達はなほ暗の中をわが
生命の
渇きのために、
泉に
近い
濕りをさぐる
愚かさを
繰りかへすのでした。
著者の
如きはそれが
常習となつてゐるので、
夜間熟睡してゐるときでも
地震により
容易に
覺醒し、
夢うつゝの
境涯にありながら
右の
時間の
暗算等にとりかかる
癖がある。
彼等が
雨戸の
隙間から
射す
夜明の
白い
光に
驚いて
蒲團を
蹴つて
外に
出ると、
今更のやうに
耳に
迫る
蛙の
聲に
其の
覺醒を
促されて、
井戸端の
冷たい
水に
全く
朝の
元氣を
喚び
返すのである。