ぱだか)” の例文
「うふふ、つまらぬえ心配はしなさんな。命に別条べつじょうはありゃアしねえ。ただおめえに、そのままぱだかになってもらいてえだけさ」
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
谷博士がまっぱだかとなり、そして高圧電気の両極の間にさかさにぶらさがって、ものすごい放電ほうでんを頭にあびせかけているのだった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
矢庭に平次の身體を横抱きにしたガラツ八、有無を言はせず、ぱだかのまゝ、猛然と焔の中に突進したのです。
素っぱだかの子供が、五、六人も集ってがやがやいっている。それは草をわなにしていもりを釣っているのである。
三浦右衛門の最後 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ドイツの植民地よりまっぱだかの黒人を連れて来て先帝の病床にせしめ、あるいは子供を左右に侍せしめたならば、かれらはおそらく先帝はなんらの苦痛もなく
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「おとなしくぱだかになッちまえ、体だけは、ここから輪島わじまいそへながれ着くようにほうりこんでくれる」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
というのは、なるべく具合よく寝ようと思ってチチコフは、まるっきりぱだかになっていたからである。その覗いた顔が彼にはどうも見覚えがあるように思われた。
るい はい、率直も、が過ぎてはと存じますけれど、今日は、ぱだかになつてみる気でございます。後がどんなにせいせいするだらうと思ひますと、もう恥も外聞もございません。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
そこでその着物をすっかり脱いでぱだかになり、濡れた着物は風に持って行かれないように石でもって押え付けてよく日に乾くようにして、自分はまた素っ裸で川に飛び込んだです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ぱだかで、シャワルウムに飛びこみ、頭から、ザアザアお湯を浴びているうち、一人が、当時の流行歌(マドロスのこい)を≪赤い夕陽ゆうひの海に、歌うは、恋のうウた≫と歌いだし、みんな
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ぶうとって汽船がとまると、はしけが岸をはなれて、ぎ寄せて来た。船頭はぱだかに赤ふんどしをしめている。野蛮やばんな所だ。もっともこの熱さでは着物はきられまい。日が強いので水がやに光る。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けもののようにぱだかにされて検査官の前に立つ若者たち。兵隊墓に白木の墓標ぼひょうがふえるばかりのこのごろ、若者たちはそれを、じじやばばの墓よりも関心をもってはならない。いや、そうではない。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
おやおや、まあ、ぱだか
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そういえば、ハッキリ刑務所の人間となるときに、私は千番に一番のかねいという冒険をしたのだった。あのとき、私のあらゆる持ちものは没収ぼっしゅうされ、ぱだかにしてほうり出されたのだ。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おや、僕はすっぱだかになっているぞ」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)