裸身らしん)” の例文
とにかく長良川博士のこの言葉は、学者たちをして、ロロー殿下の裸身らしんについて、異常の好奇心を起こさせないではいなかった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
責められるだけ責められよう。尊氏は首をふかく垂れ、自分に許容できるかぎりの罪のしもとを滝の下の一裸身らしんみたいに浴びていた。涙は一滴も出なかった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがてみのころよ。——就中なかんづくみなみ納戸なんど濡縁ぬれえん籬際かきぎはには、見事みごと巴旦杏はたんきやうがあつて、おほきなひ、いろといひ、えんなる波斯ペルシヤをんな爛熟らんじゆくした裸身らしんごとくにかをつてつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは後悔こうかいでもあり、自嘲じちょうでもあり、いかりでもあった。かれは浴室に立ちこめた湯気ゆげの中にじっと裸身らしんえ、ながいこと、だれの眼にも見えない孤独こどく狂乱きょうらんを演じていたのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
大きタオル黒き裸身らしんに卷きつけ來る女童めわらべ篁子そだたきやらむ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
裸身らしんの上へ、西陣織にしじんおりのようなもので作った、衣服をつけた。そして頭部を頭巾ずきんのようなもので包み、目ばかりを見せていた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大きタオル黒き裸身らしんに巻きつけ来る女童めわらべ篁子そだたきやらむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
熱気ねっきされた真赤な裸身らしんに疲労もらず、エンジンに全速力をあげさせ、ふかのように敏捷びんしょうな運動をあやつりながら、五度六度と、敵の艦底を潜航し
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だから向うを怪人物が裸身らしんの矢走千鳥を乗せたまま逃げてゆくのを望みながらも、何の追跡する方法もなかった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それに、もう一つ、彼らの異様な形をした裸身らしんが、海底都市の人たちの目にとまって、不快な感じを持たれたり、きらわれたりするのを防ぐためにも必要だった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういってジュリアは奥に入ると、シャーッと白い噴泉を真白な裸身らしんびた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
またこの兜や服は、彼らの裸身らしんにかかる圧力を、ちょうど適当に保っていた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)