街頭がいとう)” の例文
街頭がいとうをさらし、ゆきまじりのかぜなかで、バイオリンをき、悲痛ひつううたをうたって、みちゆくひとあしめようとしました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
古代の姿なりをした、舞台に出て来そうなものが、街頭がいとうを歩いているのであった。そういう幾たりかの男女を、僕は或日 Freiburgフライブルク で見た。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
池田屋と云って分らなければ、のお嬢さんの住んで居る店だと云ったら、多分知らない者はあるまい。己の信ずる所によると、内のお嬢さんは、銀座街頭がいとう第一の美姫びきなのだから。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
不潔なモルフィネ中毒患者をよそおって、よろよろ歩いていたし、一方ルーズベルトの特使の方は、男使だんし女使じょしの二人組で街頭がいとう一品料理は如何でございと屋台やたいを引張って触れて歩いていたのである。
可憐売到街頭去 あわれし りに街頭がいとういたくも
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
もっとも、一街頭がいとう朝鮮人ちょうせんじんのくつなおしに裏皮うらがわをとりかえさせて、月給げっきゅうのほとんど全部ぜんぶはらわせられたことがあります。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二十余年よねんあいだに、いろいろのことがあったが、ついに、ふたたび、バイオリンをいだいてみずかうたい、街頭がいとうたなければならぬうえとなったときに、むかし場所ばしょえらばずにはいられませんでした。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとり、このはなばかりでなしに、諸国しょこくからここにあつめられた、それらのめずらしい花々はなばなも、みんな特色とくしょくうしなって、一よう街頭がいとうからかぜおくられてくるほこりをあたまからびて、おもてしろくなっていました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)