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蚊燻
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かいぶ
ふりがな文庫
“
蚊燻
(
かいぶ
)” の例文
初夏でも夜は山中の冷え、炉には
蚊燻
(
かいぶ
)
しやら
燈火
(
ともしび
)
代りやらに、松ヶ根の
脂肪
(
あぶら
)
の肥えた処を細かに割って、少しずつ燃してあった。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「どれ、あの
遠
(
とほ
)
くのがゝ、
分
(
わか
)
るもんか
何處
(
どこ
)
だか」
勘次
(
かんじ
)
は
燃
(
も
)
えた
處
(
ところ
)
だけがつくりと
減
(
へ
)
つた
蚊燻
(
かいぶ
)
しの
青草
(
あをくさ
)
に
目
(
め
)
を
注
(
そゝ
)
ぎながら
氣乘
(
きのり
)
のしない
樣
(
やう
)
にいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「へツ、情けねえことになりやがつたな、
蚊燻
(
かいぶ
)
しでも
奢
(
おご
)
つて下さいよ。今年はまた陽氣のせゐか、自棄に蚊が多い」
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
早速電燈を
点
(
とも
)
して見ると王侯貴人と思ったのは㊇の豚の
蚊燻
(
かいぶ
)
しでした。朝まで続くように大形のを使っています。
社長秘書
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「秋まで生き残されている蚊を哀蚊と言うのじゃ。
蚊燻
(
かいぶ
)
しは
焚
(
た
)
かぬもの。
不憫
(
ふびん
)
の故にな」
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
蚊の多いに
蚊帳
(
かや
)
もなし、
蚊燻
(
かいぶ
)
しもなし、暗くって
薩張
(
さっぱ
)
り分りません。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小児心
(
こどもごころ
)
にも朝から気になって、
蚊帳
(
かや
)
の中でも
髣髴
(
ほうふつ
)
と
蚊燻
(
かいぶ
)
しの煙が来るから、続けてその翌晩も聞きに行って、
汚
(
きたな
)
い弟子が
古浴衣
(
ふるゆかた
)
の
膝切
(
ひざぎり
)
な奴を、胸の
処
(
ところ
)
でだらりとした
拳固
(
げんこ
)
の
矢蔵
(
やぞう
)
、片手をぬい、と出し
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
踊子
(
をどりこ
)
を
誘
(
さそ
)
ふ
太鼓
(
たいこ
)
の
音
(
おと
)
は
夜
(
よ
)
を
待
(
ま
)
ち
兼
(
か
)
ねて
鳴
(
な
)
り
出
(
だ
)
した。
勘次
(
かんじ
)
は
其
(
そ
)
の
夜
(
よ
)
蚊燻
(
かいぶ
)
しの
支度
(
したく
)
もしないで
紺
(
こん
)
の
單衣
(
ひとへ
)
へぐる/\と
無造作
(
むざうさ
)
に三
尺帶
(
じやくおび
)
を
卷
(
ま
)
いて、
雨戸
(
あまど
)
をがら/\と
閉
(
た
)
て
始
(
はじ
)
めた。さうして
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
蚊
常用漢字
中学
部首:⾍
10画
燻
漢検1級
部首:⽕
18画
“蚊”で始まる語句
蚊帳
蚊
蚊遣
蚊遣香
蚊遣火
蚊柱
蚊屋
蚊細
蚊針
蚊㡡