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處々
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しよ/\
扨も重四郎は
幸手を立出で一先江戸表へ來りて
處々を
見物なさんと十五六日も
逗留して上野淺草吉原兩國芝増上寺
其外處々を
見歩行或日又本町通りを
青田の
畦畔には
處々に
萱草が
開いて、
田の
草を
掻くとては
村落の
少女が
赤い
帶を
暑い
日に
燃やさない
日でも、
萎んでは
開いて
朱杯の
如く
點々と
耕地を
彩るのである。
まだ
幾らも
刈られてない
田は、
黄褐色の
明るい
光を
反射して、
處々の
畑に
仕る
桑も、
霜に
逢ふまではと
梢の
小さな
軟かな
葉の四五
枚が
潤ひを
有つて
居るのみである。