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薬籠
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やくろう
ふりがな文庫
“
薬籠
(
やくろう
)” の例文
旧字:
藥籠
寧ろ
頗
(
すこぶ
)
る熱心に海彼岸の文学の表現法などを自家の
薬籠
(
やくろう
)
中に収めてゐる。たとへば
支考
(
しかう
)
の伝へてゐる下の逸話に
徴
(
ちよう
)
するが好い。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
去定と登、それに
薬籠
(
やくろう
)
を背負った竹造もいっしょで、伝通院の裏を大塚へぬけ、寺と武家の小屋敷の多い町を、音羽のほうへと向かっていった。
赤ひげ診療譚:07 おくめ殺し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
花房の
背後
(
うしろ
)
に附いて来た定吉は、左の手で汗を拭きながら、
提
(
さ
)
げて来た
薬籠
(
やくろう
)
の風呂敷包を敷居の
際
(
きわ
)
に置いて、台所の先きの井戸へ駈けて行った。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
男の心が
須臾
(
しゅゆ
)
も自分より反れないために、その男は魅気に疲れヘト/\となり、かの女の愛の
薬籠
(
やくろう
)
中のものとなる。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あなたの
控
(
ひか
)
え
所
(
じょ
)
へ
出張
(
でば
)
っていた
典医衆
(
てんいしゅう
)
は、なにがなにやらわからないが、とにかく、
呼
(
よ
)
び立つこえがしきりなので、
薬籠
(
やくろう
)
をかかえてその人なかへかけつけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
本を読んでかれの長所を取りもってわが
薬籠
(
やくろう
)
におさめればいい、それだけだ、通弁になって、
日光
(
にっこう
)
の案内をしようという下劣な根性のものは
明日
(
あす
)
から学校へくるな
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
赧
(
あか
)
ら顔の
医師
(
いしゃ
)
が
薬籠
(
やくろう
)
を持ってあがって来た。
医師
(
いしゃ
)
は細君の傍へ往って
四辺
(
あたり
)
の様をじっと見た。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
思ひあたることが無いでもない、人に迫るやうな
渠
(
かれ
)
の筆の
真面目
(
しんめんもく
)
は斯うした
悲哀
(
あはれ
)
が伴ふからであらう、斯ういふ記者も
亦
(
ま
)
たその為に
薬籠
(
やくろう
)
に親しむ一人であると書いてあつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
止むを得ず戸田侯の
徒士
(
かち
)
となったり旗本邸を廻り歩いたり、突然医家を志し幕府の典医
山本宗英
(
やまもとそうえい
)
の
薬籠
(
やくろう
)
持ちとなって見たり、そうかと思うと儒者を志願し亀田
鵬斎
(
ほうさい
)
の門をくぐったり
戯作者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼等の
薬籠
(
やくろう
)
中の場所へどんどん踏込んで、彼等に対抗するだけの釣りをして来る。
釣心魚心
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
薬籠
(
やくろう
)
を一僕に荷わせたお医者。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、おっしゃっていた通り、わしの御主人も、実によく職に尽されたが、信長公も実によく光秀様の才能を、
薬籠
(
やくろう
)
中のものとして、お使いなされたものと思う。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神田川に沿って、
聖坂
(
ひじりざか
)
のほうへ歩きながら、去定は前を見たままそう訊いた。登のうしろで、
薬籠
(
やくろう
)
持ちの竹造が「へ」といった。自分が訊かれたと思ったらしい。
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
扨
(
さて
)
、私申し条も相立ち候へば、即刻下男に
薬籠
(
やくろう
)
を担はせ、大雨の中を、
篠
(
しの
)
同道にて、同人宅へ参り候所、至極手狭なる部屋に、
里
(
さと
)
独り、南を枕にして打臥し居り候。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこへ、義平太の迎えに行った市川楽翁が、
薬籠
(
やくろう
)
を持ってやって来た。すぐ、亀次郎の容体を
診
(
み
)
る。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
竹造が去定の先に立って、
提灯
(
ちょうちん
)
で足もとを照らしながらゆき、
薬籠
(
やくろう
)
は登が負っていた。一人の使用人に二つの仕事を同時にさせてはならない、と去定はつねに云っている。
赤ひげ診療譚:07 おくめ殺し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かれはいま国老鈴木
石見守
(
いわみのかみ
)
を動かし、また滝川内膳と握って、高松藩の力を自分の
薬籠
(
やくろう
)
中のものにしようとしている。そのためには、梅八をここまで
狎
(
な
)
れさせる手数をも
厭
(
いと
)
わなかった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
薬籠
(
やくろう
)
を背負って、登といっしょに供をしていた竹造が、壱岐さまのお屋敷です、とうしろから吃りながら声をかけた。去定はびっくりしたように立停り、左手を見て、それから竹造を
睨
(
にら
)
みつけた。
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
供は登だけでなく、
薬籠
(
やくろう
)
を背負った
小者
(
こもの
)
が一人いた。
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「竹造」と去定が云った、「
薬籠
(
やくろう
)
をよこせ」
赤ひげ診療譚:05 徒労に賭ける
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
薬
常用漢字
小3
部首:⾋
16画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“薬籠”で始まる語句
薬籠中
薬籠持