トップ
>
荒胆
>
あらぎも
ふりがな文庫
“
荒胆
(
あらぎも
)” の例文
旧字:
荒膽
どうしてどうして、彼はまるで意表外のやり方で、私の
荒胆
(
あらぎも
)
をひしいだのです。というのは、彼はいきなりゲラゲラと笑い出したのです。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
むしろ、これから世のあらゆるものに出会う一歩の
門
(
かど
)
の
物試
(
ものだめ
)
しとうけて、いよいよ生来の
荒胆
(
あらぎも
)
を、御輿のうちに、すえておられたかもしれない。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一見自分は先ず
荒胆
(
あらぎも
)
を抜かれてしまった。志村の画題はコロンブスの肖像ならんとは! しかもチョークで書いてある。元来学校では鉛筆画ばかりで、チョーク画は教えない。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これに
荒胆
(
あらぎも
)
を挫がれた新蔵は、もう五分とその場に居たたまれず、
捨台辞
(
すてぜりふ
)
を残すのもそこそこで、泣いているお敏さえ忘れたように、
蹌踉
(
そうろう
)
とお島婆さんの家を飛び出しました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これにはさすが江戸ッ児のキチャキチャ(チャキチャキの誤り)弥次郎兵衛、喜多八でさえも
荒胆
(
あらぎも
)
をひしがれたので、この一派は江戸者に対して常に一種の
敵愾心
(
てきがいしん
)
を蓄えている。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
俺は彼奴を心の底から
嚇
(
おど
)
して見ようと思っている。彼奴を勝手に逃げさせるのだ。そうして四擒四縦の手で彼奴の
荒胆
(
あらぎも
)
を
折
(
くじ
)
いてやるのだ。そうしたらいかに強情でも俺に従うに相違ない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一度は思わず喝采をしたものの、
流石
(
さすが
)
の荒くれ男共もこうしたお作のズバリとした思付きに、スッカリ
荒胆
(
あらぎも
)
を
奪
(
と
)
られてしまって、その次の瞬間には、水を打ったようにシンとして
終
(
しま
)
ったのであった。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
短気な警部はどうやら
荒胆
(
あらぎも
)
をひしがれたらしい。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
わけていま、永禄四年ごろは、後の天正、慶長などの時代よりは、もっともっと人間が
骨太
(
ほねぶと
)
だった。
荒胆
(
あらぎも
)
だった、生命を素裸にあらわしていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ
精悍無比
(
せいかんむひ
)
……というよりは無茶なその挙動が、すべての人の
荒胆
(
あらぎも
)
をひしぎました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私を囲んでいた友人たちは、これだけでも、もう
荒胆
(
あらぎも
)
を
挫
(
ひし
)
がれたのでしょう。皆顔を見合せながらうっかり側へ寄って
火傷
(
やけど
)
でもしては大変だと、気味悪るそうにしりごみさえし始めるのです。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
足下
(
そっか
)
らが善後策を講じる間もなく不意を衝いて、敵の
荒胆
(
あらぎも
)
を
挫
(
ひし
)
ぐという——この行き方が、つまり軍学の極意と申すもの
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一座の者の
荒胆
(
あらぎも
)
を
挫
(
ひし
)
いで興がるために、火鉢の中へ弾丸をうずめておいたものがある。それが
刎
(
は
)
ね出した時に、一座の狼狽ぶりを見て笑ってやろうという
悪戯者
(
いたずらもの
)
があったのだと思いました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いったい堺そだちの商業人は、
荒胆
(
あらぎも
)
の戦国武将たちをも、そう眼中には
措
(
お
)
かないくらいな独自の
豪毅
(
ごうき
)
を持っている。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荒胆
(
あらぎも
)
では、人におくれをとらない諸武将すら、度胆をぬかれた顔しているので、たまりかねて曹操が
雷喝
(
らいかつ
)
した。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
名馬青嵐を打たせてゆらゆら行けば、玄蕃允の
荒胆
(
あらぎも
)
にも月花の風流ならぬ歌心が、しきりに胸を往来した。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余りに
窶
(
やつ
)
れていては、
一旦
(
いったん
)
の籠城にかばかり老いさらばいつるかと、中国武士の
荒胆
(
あらぎも
)
を軽んぜられも致そうか。——さもありては口惜しきゆえ、かくは男をつくりて候ぞや。
嗤
(
わら
)
うな。嗤うな
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むしろ、その新進気鋭なことと、次の時代に活眼をもっている点では、諸侯の中の新人として、戦国育ちの腕自慢ばかりを事としている
荒胆
(
あらぎも
)
な老大名よりは、遥かに立ち
勝
(
まさ
)
っているところもある。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、官兵衛一流の見解をのべて、まず相手の
荒胆
(
あらぎも
)
をなだめ、
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
胆
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“荒”で始まる語句
荒
荒野
荒唐無稽
荒磯
荒寥
荒涼
荒海
荒々
荒神
荒地