草刈籠くさかりかご)” の例文
またそつとてゝとき頸筋くびすぢかみをこそつぱい一攫ひとつかみにされるやうにかんじた。おつぎはそと壁際かべぎは草刈籠くさかりかご脊負せおつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ことし五歳で、体に相当した襦袢じゅばん腹掛はらがけに小さな草刈籠くさかりかご背負せおい、木製の草刈鎌を持って、足柄山を踊る男の子でありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
たけなわなる汐時しおどき、まのよろしからざる処へ、田舎の媽々かかあ肩手拭かたてぬぐいで、引端折ひっぱしょりの蕎麦そばきり色、草刈籠くさかりかごのきりだめから、へぎ盆に取って、上客からずらりと席順に配って歩行あるいて
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
上の方に草刈籠くさかりかご背負しょって鎌を持った子供が一人、秋の野を行く絵があって、下には四句
勘次かんじ黄昏たそがれちかくなつてからひとり草刈籠くさかりかご背負せおつてた。かれ何時いつものみちへはないでうしろ田圃たんぼからはやしへ、それからとほ迂廻うくわいして畑地はたちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
室の一隅の草刈籠くさかりかごは、大塔宮だいとうのみやがただいまこの中から御脱出になったままのように、書き物があふれ出している。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さうしてぎつとんでおもつた草刈籠くさかりかご脊負せおつた。其處そこらのはたけにはつちひらいたやうに處々ところ/″\ぽつり/\と秋蕎麥あきそばはなしろえてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)