船客せんきやく)” の例文
出港しゆつかうのみぎり白色檣燈はくしよくしやうとうくだけたこと、メシナ海峽かいきようで、一人ひとり船客せんきやくうみおぼれた事等ことなどあだかてんこゝろあつて、今回こんくわい危難きなん豫知よちせしめたやうである。
ドオバアからオスタンド迄の海上三時間は少しばかり波の立つのを感じた。晶子を酒場バアそば寝台ねだいへ休息させて置いて、自分は甲板かんぱんの上の船客せんきやくに交つて涼しい汐風に吹かれて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
エイフツドクハク伊等イとう各國かくこく上等じやうとう船客せんきやくいづれも美々びゞしき服裝ふくさうして着席ちやくせきせる其中そのなかまじつて、うるはしき春枝夫人はるえふじん可憐かれん日出雄少年ひでをせうねんとの姿すがたえた。
き合ふ時双方の船客せんきやくが帽やハンカチイフを振りたがひに健康を祝つて叫びかはす。又信号所の附近にある人家の楼上から女子供が「ボン、ヴオアイヤアヂユ」などと仏蘭西フランス語で呼びかける。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
すでよるふかく、くわふるに當夜このよなみおだやかにして、ふねいさゝか動搖ゆるぎもなければ、船客せんきやく多數おほかたすでやすゆめつたのであらう、たゞ蒸滊機關じようききくわんひゞきのかまびすしきと