脳味噌のうみそ)” の例文
旧字:腦味噌
帰って来て匇々そうそう吉田は自分の母親から人間の脳味噌のうみその黒焼きを飲んでみないかと言われて非常に嫌な気持になったことがあった。
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
代助から見ると、此青年のあたまは、うし脳味噌のうみそで一杯詰つてゐるとしか考へられないのである。はなしをすると、平民のとほる大通りを半町位しかいてない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うちかってこないにまでのぼってえへなんだら、なんぼ脳味噌のうみそ足らんいうたかって気イついてたに違いないわ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
羽二重はぶたえをこするような空気の音が耳をかすった。途端に、積んである畳が半分、粉々になって、人間の脳味噌のうみそと一緒に、後ろのがけへ、どかあん! と炸裂さくれつした。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お前もフランソアと同じように、脳味噌のうみそが少し足りないか。頭の組み合せがゆるんでいるらしいな」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
皮をがれるやら、鉄のきねかれるやら、油のなべに煮られるやら、毒蛇に脳味噌のうみそを吸われるやら、熊鷹くまたかに眼を食われるやら、——その苦しみを数え立てていては、到底際限がない位
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「お膳にもつけて差し上げましたが、これを頭から、その脳味噌のうみそをするりとな、ひとかじりにめしあがりますのが、おいしいんでございまして、ええとんだ田舎流儀ではございますがな。」
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ことに、私ももう七十歳をこしてしまったことだし、生命に別条がないとしても、脳味噌のうみそ硬化こうかはさすがに争えないものがあるのだから、めったな約束やくそくはしない方がいいだろうと思うのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
うし脳味噌のうみそ 冬 第二百八十八 牛の脳味噌
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かねいきおいもないものが天下の士に恥じぬ事業を成すには筆の力に頼らねばならぬ。舌のたすけらねばならぬ。脳味噌のうみそ圧搾あっさくして利他りた智慧ちえしぼらねばならぬ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「それは斬罪があるからだけさ。脳味噌のうみその黒焼きなどは日本でもんでいる。」
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
脳味噌のうみそのコロッケ 秋 第二百五十 牛の尾
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
骨から脳味噌のうみそまで震盪しんとうを感じたくらいはげしく、親方は余の頭を掻き廻わした。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕はいまだにその本にあつた、シユタアツ・ヘモロイダリウスと云ふ、不可思議な言葉を記憶してゐる。この言葉は恐らくは一生のあひだ、薄暗い僕の脳味噌のうみそのどこかに木の子のやうに生えてゐるであらう。
二人の友 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
脳味噌のうみそのフライ 秋 第二百五十 牛の尾
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)