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おうな
ふりがな文庫
“
老媼
(
おうな
)” の例文
まったく田舎の一
老媼
(
おうな
)
である。果報にすぎると、常に勿体ながるばかりであった。その母は、誰よりも、寧子が気に入っていた。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
渠
(
かれ
)
は清川お通とて、親も兄弟もあらぬ
独身
(
ひとりみ
)
なるが、家を同じくする者とては、わずかに一
人
(
にん
)
の
老媼
(
おうな
)
あるのみ、これその
婢
(
ひ
)
なり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
フルヰアの
老媼
(
おうな
)
はテレザの髮とその藏め居たりしジユウゼツペの髮とを
銅銚
(
どうてう
)
に投じて、
奇
(
く
)
しき藥艸と共に煮ること數日なりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
少女は
鏽
(
さ
)
びたる針金の先きを捩ぢ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には
咳枯
(
しはが
)
れたる
老媼
(
おうな
)
の聲して、「
誰
(
た
)
ぞ」と問ふ。
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
昼餉
(
ひるげ
)
食
(
とう
)
べにとて立寄りたる家の
老媼
(
おうな
)
をとらえて問い
質
(
ただ
)
すに、この村今は
赤痢
(
せきり
)
にかかるもの多ければ、年若く
壮
(
さか
)
んなるものどもはそのために
奔
(
はし
)
り廻りて暇なく
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
同年者もとかくに止め、別して彼が幼き時膝にあげたる一人の
老媼
(
おうな
)
、阿園とともに昼ごろまで泣きて止めたれど動く様子少しもなく、いよいよ明朝の出立と定まりぬ、阿園も今は涙を
拭
(
ふ
)
き
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
街の角冬は日向とひろげたる
襤褸
(
ぼろ
)
のつぎはぎに
老媼
(
おうな
)
らありき
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
少女は
鏽
(
さ
)
びたる針金の先きを
捩
(
ね
)
ぢ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には
咳枯
(
しはが
)
れたる
老媼
(
おうな
)
の声して、「
誰
(
た
)
ぞ」と問ふ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この枯野に、なにを探しているのか、草むらの中にうずくまって、土を掻き分けていた
老媼
(
おうな
)
が、彼の
跫音
(
あしおと
)
にふと顔をあげ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蝦蟇法師
(
がまほうし
)
がお通に意あるが如き
素振
(
そぶり
)
を認めたる連中は、これをお通が召使の
老媼
(
おうな
)
に語りて、且つ
戯
(
たわぶ
)
れ、且つ戒めぬ。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わがアヌンチヤタと
老媼
(
おうな
)
とを伴ひて旅館にかへりしとき、門守る男はベルナルドオが留守におとづれしことを告げたり。我友はこの男の口より二婦人を連れ出だしゝものゝ我なるを聞けりといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
あるじの
老媼
(
おうな
)
いなかうどの心
緩
(
ゆる
)
やかに、まことにあしき病なんど行わるる折なれば、くず湯召したまわんとはよろしき御心づきなり、湯の沸えたぎらばまいらせんほどに、しばし待ちたまえといいて
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
少女は
鏽
(
さ
)
びたる針金の先きをねじ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には
咳枯
(
しわが
)
れたる
老媼
(
おうな
)
の声して、「
誰
(
た
)
ぞ」と問う。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
枯草と同じような
淡
(
うす
)
い無地の着物をその
老媼
(
おうな
)
は着ていた。綿のふっくら入っている
胴衣
(
どうぎ
)
の
紐
(
ひも
)
だけが紫色なのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらばそれも見んとて
老媼
(
おうな
)
にわかれ立出で、それとおぼしき家にことわりいいて、
突
(
つ
)
と裏の方に至り見るに、大さのやや異なるのみにて、ここのもそのさま前のと同じく、別に見るべきところもなし。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さるほどに
蝦蟇法師
(
がまほうし
)
はあくまで
老媼
(
おうな
)
の
胆
(
きも
)
を奪いて
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
卑屈な悪口屋の儒者が、瓜園の
老媼
(
おうな
)
と言ったように、彼女は、きわめて質素な田舎のお婆あさんでしかなかった。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乳
(
ち
)
のごとき色の顔は
燈火
(
ともしび
)
に映じて
微紅
(
うすくれない
)
をさしたり。手足のかぼそくたおやかなるは、貧家の
女
(
おみな
)
に似ず。
老媼
(
おうな
)
の
室
(
へや
)
を出でしあとにて、
少女
(
おとめ
)
は少し
訛
(
なま
)
りたる言葉にて言う。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして附近の汚い
老媼
(
おうな
)
や、
潮臭
(
しおくさ
)
い漁師の子らが、菓子をもらうため、太守のまわりに
蠅
(
はえ
)
のようにたかって来ても、太守はうるさいとも無礼だとも
咎
(
とが
)
めなかった。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これを上人様に——」と、真心こめた餅や、紙や、花などの供物を捧げる
老媼
(
おうな
)
だの
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田夫
(
でんぷ
)
野人
(
やじん
)
と呼ばれる彼らのうちには、富貴の中にも見られない真情がある。人々は、食物を持って来て玄徳に献げた。またひとりの
老媼
(
おうな
)
は、自分の着物の袖で、玄徳の
泥沓
(
どろぐつ
)
を拭いた。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『彼は
瓜園
(
かえん
)
の
老媼
(
おうな
)
までひき出して売名の具にする』
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老
常用漢字
小4
部首:⽼
6画
媼
漢検1級
部首:⼥
13画
“老媼”で始まる語句
老媼茶話