きやう)” の例文
新字:
道端に坐つて、朝から晩までおきやうを讀んで居たのが、何か食ひ物でも惡かつたか、今日の晝頃のた打ち廻つて死んで了つたさうです。
そも女人をんなは、一だい五千くわん、七千餘卷のどのきやうにもほとけになれないときらはれてゐるが、法華經ほけきやうばかりには女人によにんほとけになると説かれてゐる。
大根だいこん時雨しぐれ干菜ほしなかぜとびからすせはしきそらを、くものまゝにつゝけば、霜林さうりん一寺いちじいだきてみねしづかてるあり。かねあれどもかず、きやうあれどもそうなく、しばあれどもひとず、師走しはすまちはしりけむ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
れしみきやうや讀むべき。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
餞別せんべつに貰つた小判の百兩を懷中に深く祕め、編笠に面體を隱したまゝ、先づ日頃信心する觀音樣の近くに陣取つて心靜かにうろおぼえのおきやうし乍ら
ガラツ八は吉三郎の家を宵まで見張りましたが、町内の百萬遍まんべんの講中が來たのと、お通夜つやの小坊主が、お義理だけのきやうをあげた外には、何の變りもありません。
「そんな事はしねえが、説教はする。八宗兼學の大した修業者だが、この世の慾を絶つて、小さい庵室あんしつに籠り、若い弟子の鐵童と一緒に、朝夕おきやうばかり讀んでゐる」
次第に弔問てうもんの客も多くなりましたが、平次は伊八に注意して、五六人の僧を呼び、引つ切なしにきやうを讀ませて、町内中に知れ渡るほどの、最も盛大なお通夜を營ませました。
五兵衞の死骸は、綺麗に洗ひ清めて、別間でおきやうを上げて居りました。
「丁度夜半のおきやうが濟んだ頃だ。曲者が今頃動き出してゐるぜ」