累々るゐ/\)” の例文
累々るゐ/\たる墳墓の地、苔滑らかに草深し、もゝちの人の魂魄こんぱく無明の夢に入るところ。わがかしこにみし時には、朝夕杖を携へて幽思を養ひしところ。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
宗助そうすけにはこの累々るゐ/\たるくろいものが、こと/″\娯樂ごらくせきて、面白おもしろ半夜はんやつぶこと出來でき餘裕よゆうのあるひとらしくおもはれた。かれかほてもうらやましかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
暗渠あんきよの中には千兩箱が五つ、いや六つ、七つまで、累々るゐ/\と押込んであるではありませんか。
水流をわたるのまされるに如かず、され共渉水亦困難こんなんにして水中石礫せきれき累々るゐ/\之をめば滑落せざることほとんどまれなり、衆皆石間せきかんあしき入れてあゆむ、河は山角を沿ふてはなはだしく蜿蜒えん/\屈曲くつきよく
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
年老いたる番僧の露西亜人ろしあびとに導かれて、古寺こじの廃跡いし累々るゐ/\たるを見つゝ、小石階せうせきかいを下りて、穹窿きゆうりゆうの建物いと小さく低きが中に入る。内に井あり、口径三尺ばかり、石を畳むでふちとす。
つきはなほ半腹はんぷく累々るゐ/\たるいはほらすばかり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
累々るゐ/\として徳孤ならずの蜜柑みかん
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)