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粗笨
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そほん
ふりがな文庫
“
粗笨
(
そほん
)” の例文
粗笨
(
そほん
)
な仕事と誰れの眼にも分っていながらも、これがこの節繍の域内を大手振って歩いているのは怖ろしいことだ、と歎かれるのである。
痀女抄録
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
彼ら党人の論調の
粗笨
(
そほん
)
乱暴であることは往年の憲政擁護運動時代における
慷慨
(
こうがい
)
殺伐の
口吻
(
くちぶり
)
と比べて少しも進歩していないのに驚かれます。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
少くともブライロフスキーのショパンは、この上もなく情熱的で、少し
粗笨
(
そほん
)
ではあったが輝かしい美しさに充ちたものであった。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
粗笨
(
そほん
)
鹵莽
(
ろもう
)
、出たらめ、むちやくちや、いかなる評も
謹
(
つつし
)
んで受けん。われはただ歌のやすやすと口に乗りくるがうれしくて。(四月三十日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
答 決してそういう
粗笨
(
そほん
)
な断定を下しているのではない。「上手物」でも美しいものは美しい。だが私たちは次のことを注意せねばならぬ。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
(これは私の
粗笨
(
そほん
)
な想像ではあるが)処がこれは——この場合私は社会的又は個人的と云ふ程の意味で外的内的と云ふ言葉を
岩野清子氏の『双棲と寡居』について
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
しばしばこれへ渡って日を過し夜を明かすことになればそんな
粗笨
(
そほん
)
な形容では自他を分つことができなくなる道理である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その横道に引き入れられたと云ふのは外でもない。これは極
粗笨
(
そほん
)
な、ありふれた誤謬だね。即ち単に尋常でない事と深い秘密とを混同するのだね。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
似たもの夫婦という表現は、
粗笨
(
そほん
)
ですね、よく観察するとそれはもっと複雑で、只同じ種類という形で似ているという単純なものではないことね。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そこに何等かの執着をつなぎ、葛藤を加えるのは、要するに下根
粗笨
(
そほん
)
な外面的見断に支配されての迷妄に過ぎない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
苛
(
あせ
)
れば
苛
(
あせ
)
るほど、藻掻けば藻掻くほどすべてが
粗笨
(
そほん
)
に傾き、ますます空虚となってゆくばかりだ。そうではないか。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
というと熱血誠心、
真摯
(
しんし
)
真剣ではありながら、彦九郎流の一徹短慮、思慮に乏しい浪人者の
粗笨
(
そほん
)
、傍らの大刀ひっさげるや、ヌッと立って席を蹴った。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
唐宋諸賢ノ集中往往ニシテ
粗笨
(
そほん
)
冗長ナルガ如キ者アリトイヘドモ、ソノ実ハ句鍛ヘ字錬リ一語モ
苟
(
いやし
)
クセズ。故ニ長篇ニ至ツテハ
則
(
すなわち
)
北征南山長恨
琵琶
(
びわ
)
ノ数首ノミ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だから為世一派の『
野守鏡
(
のもりのかがみ
)
』や『歌苑連署事書』も、用語の
粗笨
(
そほん
)
さの点で『玉葉集』を難じたのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
その経験という意義が
粗笨
(
そほん
)
であったために、今日の唯物論を導いたのであるが、西田氏はこの語の意義を極度まで純化することによって、かえって唯物論を裏切り
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
わたしは最も
粗笨
(
そほん
)
な時期においてさえ、すべての建築上の装飾を閑却せよというのではない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
「蛮人のユウモアは
粗笨
(
そほん
)
な代りに自然で雄大なところがある。蒟蒻の化物は荒削りで面白い」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
文字も
粗笨
(
そほん
)
になるので、「元日や草の戸ごしの麦畑」と整然とした十七字にしたのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
插楽劇
(
メロドラマ
)
の反対者らは、これまでなされた試みとその実演者たちとの
粗笨
(
そほん
)
さにたいして、りっぱに攻撃の理由をもっていた。クリストフも長い間、同じように
嫌悪
(
けんお
)
を感じていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ゾラの構成力は、大きいには大きいが、やゝ
粗笨
(
そほん
)
で、何方かと云へば、ガラクタ普請の馬鹿に大きい奴に近い。ドオテエも余り大きくない。ツルゲネフも何方かと云へば小さい。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
精密なようでかえって
粗笨
(
そほん
)
ということもできるであろう。
読書
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
「イヤ参謀、それは
粗笨
(
そほん
)
な考え方だと思う。一体この室に蠅などが止まっているというのが
極
(
きわ
)
めて不思議なことではないか。ここは軍団長の居らるる室だ。ことに季節は秋だ。蠅がいるなんて、わが国では珍らしい現象だ」
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
(
粗笨
(
そほん
)
に、躁急に登場。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
そうして今のままなら民藝は廃れ、
粗笨
(
そほん
)
な機械製品のみふえ、独り個人的作品のみがわずかに骨董的意義で存続するに過ぎなくなるであろう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しかれども意匠の
粗笨
(
そほん
)
複雑にして統一せざる、語句の
佶屈聱牙
(
きっくつごうが
)
にして調和を欠きたる、いまだ達せざる者一歩なり。例句
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
極めて
粗笨
(
そほん
)
な全体主義でおおうたもののいいかたをし、而もその全体の水準を生活全面で最低まで押し下げておいて、全体という言葉の逆用によって
全体主義への吟味:今日の民衆、知識人への課題
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
男は綜合的ではあるが、如何にも
粗笨
(
そほん
)
で浅薄です。何を
為
(
す
)
るにも独り合点で、片端から独断でやつてのけます。男の為ることは馬鹿々々しい程無邪気に女には見えます。
新らしき婦人の男性観
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
もっと
粗笨
(
そほん
)
でもいい。輝きと力が欲しいではないか——そんなことを言う人も決して少くはない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
そういう場合には、知らない顔をして答弁すまいと用心した。彼は愚かな偽君子であるとともにまた
粗笨
(
そほん
)
な人物であって、時の事情によってあるいは
傲慢
(
ごうまん
)
になりあるいは穏和になった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それは必ずしも自分が緻密なる思索に堪え得ざる頭脳の
粗笨
(
そほん
)
と溌剌たる体験を支え得ざる身体の病弱とのためではなく、じつに自分のごとき運命を享けたる者、早き死を予感せるものが
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
僕の感傷性と硯友社とを一緒に考へるなどは頗ぶる
粗笨
(
そほん
)
な頭だ。
エンジンの響
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
それは文化に対して理解の少い人たちの
粗笨
(
そほん
)
な旅日記等にも
因
(
よ
)
りますが、一つには沖縄の人たちの不必要な卑下から起る場合も少くはないのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
思想そのものとしても、明治時代の独特の
粗笨
(
そほん
)
さはまぬがれないと思う。又日本人独特のあわれなる創造力のなさも。日本では、アインシュタインをよんだものが学者となる。
日記:08 一九二二年(大正十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それに比べると、キプニス——あの高名なキプニス——が、なんと言う
粗笨
(
そほん
)
なことだろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
これらの句は『
虚栗
(
みなしぐり
)
』に比して更に一歩を進めたり。『虚栗』の如く
粗笨
(
そほん
)
ならず、『虚栗』の如く佶屈ならず。しかれども句々なほ工夫の痕跡ありて、いまだ自然円満の域に達せず。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
近代ほど罪の意識の鈍くなった時代は無い。女の皮膚の感触の味を感じ分ける能力は、驚くほど繊細に発達した。そして一つの行為の善悪を感じ分ける魂の力はじつに
粗笨
(
そほん
)
を極めている。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
精
(
くわ
)
しい人智も自然の
叡智
(
えいち
)
の前にはなお
粗笨
(
そほん
)
だと見える。本能から生れるものには何か抗し難い力がある。あの素朴な苗代川の黒物には自然が味方している。
苗代川の黒物
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それとも、紙のわるさにふさわしい屑が出たかということは、
粗笨
(
そほん
)
な主観に立って気に入らない本は出ないようにする快味以上に、未来に向って深刻な意義をもっているのである。
日本文化のために
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それ以上はこの女の
粗笨
(
そほん
)
な記憶を引出す
術
(
すべ
)
もありません。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それ以上はこの女の
粗笨
(
そほん
)
な記憶を引出す
術
(
すべ
)
もありません。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
晨ちゃんの論文は、大変
粗笨
(
そほん
)
でした。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
作家らしからぬ
粗笨
(
そほん
)
さである。
今日の文学に求められているヒューマニズム
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
粗
常用漢字
中学
部首:⽶
11画
笨
漢検1級
部首:⽵
11画
“粗笨”で始まる語句
粗笨漢