-
トップ
>
-
粗剛
>
-
こは
午餐に
勘次が
戻つて、
復口中の
粗剛い
飯粒を
噛みながら
走つた
後へ
與吉は
鼻緒の
緩んだ
下駄をから/\と
引きずつて
學校から
歸つて
來た。
彼は
晝飯といふと
殊に
冷たい
粗剛い
飯を
厭うて
箸を
執るのが
辛いやうでもあつた。
其れで
彼は
時々村落の
店へ
行つて
豆腐の一
丁位に
腹を
塞げた。
だん/\
燒いて
膨れても
外側は
齒齦を
痛める
程硬ばつて
來た。
卯平は
其の一つさへ
滿足に
嚥み
下さうとするには
寧ろ
粗剛いぼろ/\な
飯よりも
容易でなかつた。