箱書はこがき)” の例文
それは/\お気の毒なことだ、貴方あなた以前もとはお旗下はたもとかね。乞「いえ/\。主「ンー……南蛮砂張なんばんすばり建水みづこぼしは、是品これ遠州ゑんしう箱書はこがきではないかえ。 ...
彼の観音はめぐりめぐって去年の秋のこと、或る人が箱書はこがきをしてくれといって持って来た作を見ると、それが合田氏に贈ったその観音でありました。
画家ゑかき仲間の達者人たつしやじんといはれた富岡鉄斎翁も近頃大分だいぶんほうけて来た。ずるい道具屋などはそれをい事にして、よく贋物にせものを持ち込んでは、うま箱書はこがきを取らうとする。
人々の見方には充分な直観の基礎がないのです。いかにそれ等の人々は箱書はこがきに頼っているでしょう。
民芸とは何か (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「いゝえ。主人は絵の好い悪いなんか分りませんけれど、親戚の画家から戴いたばかりでしたから、箱書はこがきを覚えていて、『これは雁鴨青籠詰がんかもあおかごづめの図ですよ』と申しました」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
箱書はこがきといい、どうもそれが稲川家の宝物であるらしく思われてならなかった。
半七捕物帳:27 化け銀杏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
夫故それゆゑ箱書はこがき黙阿弥翁もくあみをうしたゝめてもらひましたが、此文中このぶんちうにもあるとほり十有余年いうよねん昔話むかしばなし流行はやつたことと見えまする。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何でもこの硯一つで河合家の百硯に対抗するといふ代物しろもので、山陽のめちぎつた箱書はこがきさへはつてゐるので、硯好きの河合はいゝ機会をりがあつたら、何でも自分の方にき上げたいものだと
古松研 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
彼らは箱書はこがきに頼ったのではない。銘に依ったのではない、誰の作なるかを尋ねたのではない。人々の評に習ったのではない。また古いが故に愛したのでもない。ものをじかに見たのである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
まづ此方こちらへと、鑑定めきゝをしてもらつもりで、自慢じまん掛物かけもの松花堂しやうくわだう醋吸すすひせいを見せるだらう、掛物かけものだ、箱書はこがき小堀こぼりごんらうで、仕立したてたしかつたよ、天地てんち唐物緞子からものどんすなか白茶地しらちやぢ古金襴こきんらんで。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何でもこの硯一つで河合家の百硯に対抗するといふ代物しろもので、山陽のめちぎつた箱書はこがきさへはつてゐるので、硯好きの河合はいゝ機会をりがあつたら、何でも自分の方にき上げたいものだと