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笑顏
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えがほ
青木さん
夫婦はこの
頃にない
張りのある、明るい
氕持で、
希望と
信頼の
笑顏を
互にぢつと
見交し合つた。
「そんぢや
此の
南瓜も
俺れ
貰つてえゝんだな、
馬鹿に
大けえ
南瓜ぢやねえかな、
明日まで
置いてくろうな」おつたは
始終笑顏を
作つて
居る
處へ
南の
女房は
葱を
一束藁でくるんだのを
抱へて
來た。
春枝夫人の
笑顏は
天女の
美はしきよりも
美はしく、
仰ぐ
御空には
行く
雲も
歩をとゞめ、
浪に
鳴く
鳥も
吾等を
讃美するかと
疑はるゝ。
此快絶の
時、
忽ち
舷門のほとりに
尋常ならぬ
警戒の
聲が
聽えた。