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空骸
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なきがら
ふりがな文庫
“
空骸
(
なきがら
)” の例文
その数は三万をこえ、火勢のやがて
冷
(
さ
)
めた後、これを
盤蛇谷
(
ばんだこく
)
の上から見ると、さながら火に駆除された害虫の
空骸
(
なきがら
)
を見るようであった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ですから、あの男がもし、真実貴方の
空骸
(
なきがら
)
に決まってしまうのでしたら、それこそ、私の採る道はたった一つしかないわけでございましょう。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そして天皇はもはやとくにお
亡
(
な
)
くなりになったとお言いふらしになり、そのお
空骸
(
なきがら
)
をつれておかえりになるていにして、
筑紫
(
つくし
)
をお立ちになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
無名の青年 ——それではあなたは絶望の
儘
(
まま
)
、ただ一人の親のため
空骸
(
なきがら
)
のままで生きて行こうとして居られるのですか。何と云う
酷
(
むご
)
たらしい生き方だろう。
ある日の蓮月尼
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
子供たちの母を呼ぶ声を後に
遺
(
のこ
)
して冷たい
空骸
(
なきがら
)
となって横たわっていたのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
七草の絵は、無残な
空骸
(
なきがら
)
だ。草雲は、怒りに全身が燃えた。愛児が、
虐殺
(
ぎゃくさつ
)
されたような感情が、眼を熱くさせて、男泣きの涙がこぼれかけた。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴方の
空骸
(
なきがら
)
に決まってしまうのでしたら、いったいその時、私はどうなってしまうのでしょう。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
皇后も
宿禰
(
すくね
)
も、神さまのお
罰
(
ばつ
)
に
驚
(
おどろ
)
き
怖
(
おそ
)
れて、急いでそのお
空骸
(
なきがら
)
を仮のお宮へお移し申しました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そしてこの性を抜いた豪華の
空骸
(
なきがら
)
に向け、左右から両側になって取り付いている二階建の小さい長屋は、そのくすんだねばねばした感じから、
鶫
(
つぐみ
)
の
腸
(
わた
)
の塩辛のようにも思う。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
目前には、今息をひきとったばかりの養父の
空骸
(
なきがら
)
があり、側には、泣きじゃくるお三輪と乙吉のいじらしい姿がある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴方の
空骸
(
なきがら
)
は、そうしてグルグル廻転しながら、息が絶えてしまうのです。でも、どうしたということでしょう。いつもなら今時分には一度、きまって眼を覚ますのですが……
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
遂には、
餓殍
(
がひょう
)
と餓殍が噛みあって何万何億か知れない虫の
空骸
(
なきがら
)
が、一物の青い穂もない地上を悽惨に敷きつめている。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
各〻は、精神なき江戸城、
空骸
(
なきがら
)
の幕府を奉じて、上一天に
反
(
そむ
)
き、藩侯の御意志にも反いて、それを臣節と仰せあるや
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
清浄な
檜林
(
ひのきばやし
)
を見つけた。わしは
老母
(
おふくろ
)
の
空骸
(
なきがら
)
を千年
苔
(
ごけ
)
の下に埋めた。
鍬
(
くわ
)
は近くの
小挽
(
こびき
)
小屋から借りて来たものだった。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがての後、二人は不動院を叩いて、老院主に
顛末
(
てんまつ
)
を話し、近所の百姓の手を借りて六太夫の
空骸
(
なきがら
)
を埋葬した。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ねむらせた三個の
空骸
(
なきがら
)
は、すぐ
厨
(
くりや
)
の流しに引きずり込み、すぐばらしてしまうつもりだったが、懐中物をしらべてみると、囚人にしては予想外の大金やら
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
虚無僧は傍らの切株へ腰を落し、宗友の冷たい
空骸
(
なきがら
)
に瞳を落しながら、口重そうに次の話をしはじめた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、一声さけんだのと、松の皮といっしょに斬られて大地へころがった、あのいたいけな可憐な
空骸
(
なきがら
)
だ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私たちは息をしている
空骸
(
なきがら
)
です。これも、鹿ヶ谷のご説法でうかがったように、
往生
(
おうじょう
)
——
往
(
ゆ
)
きて
生
(
い
)
きん——という道まで行かなければ、ほんとの
生命
(
いのち
)
は
呼吸
(
いき
)
をして参りません
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徐庶は、冷たい母の
空骸
(
なきがら
)
をかかえて、男泣きにさけびながら、その場に昏絶してしまった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前年の、近畿一帯の水害で、春から、都の両京は、路傍に、餓死者の
空骸
(
なきがら
)
がみちた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わしは幾日も冷たい
空骸
(
なきがら
)
を背負って歩いた。夜は抱いて山に寝た。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
骸
常用漢字
中学
部首:⾻
16画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手