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空脛
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からすね
ふりがな文庫
“
空脛
(
からすね
)” の例文
次にも又、一人の中年の侍が、捨身になって出て来たが、それは、
空脛
(
からすね
)
を蹴られて、一同の中へ刀を抛って、仆れ込んだ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最後に
空脛
(
からすね
)
を二本、棒のようにどてらの真向うに突っ立てた時は、この娑婆気が最高潮に達した瞬間である。その瞬間に働く気はないかねと来た。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さも、安心したらしい、しかし、意味ありげな口上——、吉は、立って来て、手拭を盗ッとかぶり、尻をはしょって、
空脛
(
からすね
)
を出した男を、闇を透してみつめるように
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
地獄の口の
開
(
あ
)
いた中から、水と炎の渦巻を浴びて、
黒煙
(
くろけむり
)
を
空脛
(
からすね
)
に踏んで火の粉を泳いで、背には清葉の
継
(
まま
)
しい母を、胸には捨てた(坊や。)の
我児
(
わがこ
)
を、
大肌脱
(
おおはだぬぎ
)
の胴中へ
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
煮えくりかえるような胸をおさえて、
空脛
(
からすね
)
を風に吹かせながら、
三年町
(
さんねんちょう
)
の通りを歩いて行くと、横丁から小走りに走りだして来た、せんぶりの千太。頭から湯気を立てながら
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
振り向いてみると、竹杖一本手に持って、
空脛
(
からすね
)
に
腰
(
こし
)
きりの布子一枚、
髯
(
ひげ
)
の中から顔を出しているような男
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三十二銭
這入
(
はい
)
っている。白い眼は
久留米絣
(
くるめがすり
)
の上からこの蟇口を
覘
(
ねら
)
ったまま、
木綿
(
もめん
)
の
兵児帯
(
へこおび
)
を乗り越してやっと
股倉
(
またぐら
)
へ出た。股倉から下にあるものは
空脛
(
からすね
)
ばかりだ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
百々子の部屋の真下になっている石田氏の居住をのぞいてみると、石田氏はワイシャツの着流しで
空脛
(
からすね
)
をだし、部屋の積み夜具に腰をかけ、怒ったような顔で煙草を喫っていた。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
二度も三度も
折重
(
おりかさな
)
って、
摺
(
ず
)
り落ちて、しまいには、私がどしんと尻餅を
搗
(
つ
)
くと、お優さんは肩に
縋
(
すが
)
った手を
萎
(
な
)
えたように解いて、色っぽくはだけた
褄
(
つま
)
と、男の
空脛
(
からすね
)
が二本、少し離れて
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百姓庶民は自分たちを遊び飽かせる為に生きている——そういう
公達
(
きんだち
)
の頭には、太政入道が
空脛
(
からすね
)
の青年時代に、
瀕死
(
ひんし
)
の親の医者を迎えるため医師へ行っても来てくれず
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藪
(
やぶ
)
から
棒
(
ぼう
)
に働く了簡はないかねと聞かれた時には、何と答えて
善
(
い
)
いか、さっぱり
訳
(
わけ
)
が分らずに、
空脛
(
からすね
)
を突っ張ったまま、馬鹿見たような口を開けて、ぼんやり相手を
眺
(
なが
)
めていた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
色の浅黒い
空脛
(
からすね
)
を
端折
(
はしょ
)
って——途中から降られたのだから仕方がない——好みではないが、
薩摩下駄
(
さつまげた
)
をびしゃびしゃと
引摺
(
ひきず
)
って、番傘の
雫
(
しずく
)
を、
剥身屋
(
むきみや
)
の親仁にあやまった処は、まったく、「
家
(
か
)
。」や
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
空脛
(
からすね
)
に、槍一本かつぎ出して、宮本村の
武蔵
(
たけぞう
)
と、関ヶ原の空をのぞんで飛び出した時のような壮志が、久しぶりに、近頃、健康になった彼の体にも、
甦
(
よみがえ
)
って来たらしいのである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三平がそっと横へ
顎
(
あご
)
を指したので、何かと思って、藤左衛門が振向いてみると、自分たちの
群
(
むれ
)
から五、六間離れた柵の
際
(
きわ
)
に、提灯を消して
空脛
(
からすね
)
を抱えながらうずくまっている四、五名の雲助と
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
脛
漢検1級
部首:⾁
11画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手