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あひにく
ふりがな文庫
“
生憎
(
あひにく
)” の例文
談話
(
はなし
)
が済むと、どんな人でもがついお
鳥目
(
てうもく
)
をはずみたくなるものだが、
生憎
(
あひにく
)
な事にモツアルトはその折
懐中
(
ふところ
)
に少しも持合せてゐなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
来た折が
生憎
(
あひにく
)
なのか
墺地利
(
オオストリヤ
)
の首都として予想して居たのに反し優雅な
趣
(
おもむき
)
に乏しい都である。何となく
田舎
(
ゐなか
)
らしく又何となく東洋じみた都である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
生憎
(
あひにく
)
その日は日本人はひとりも乗つてゐず、それに例の
臨城
(
りんじやう
)
事件が
昨夜
(
ゆうべ
)
あつたばかりなので、一層さびしいさびしい旅を続けなければならなかつた。
犬
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
単物
(
ひとへもの
)
からセルへうつる時候で、
生憎
(
あひにく
)
其日は
蒸
(
むし
)
熱いので、長い幕合を涼みがてら廊下に出て居る人が多かつた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
生憎
(
あひにく
)
風呂敷は一枚きり持つてゐないんですけれど、袂や懐や、帯の間へ、出来るだけねぢこんで……(男たちまた笑ふ)いゝぢやありませんか、ほんとなんですもの。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
▼ もっと見る
透
(
すか
)
し見るに
生憎
(
あひにく
)
曇りて
黒白
(
あやめ
)
も分ず
怖々
(
こは/\
)
ながら
蹲踞
(
つぐみ
)
居れば
件
(
くだん
)
の者は河原へ
上
(
あが
)
り
背
(
せ
)
より一人の女を下しコレ聞よ
逃亡者
(
かけおちもの
)
と昨日から
付纒
(
つきまと
)
ひつゝやう/\と此所へ
引摺
(
ひきず
)
り
込
(
こむ
)
までは大に
骨
(
ほね
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
萎びた黒繻子の帶を、ダラシなく尻に垂れた
内儀
(
おかみ
)
に、『
入來
(
いらつ
)
しやい。』と聲をかけられたお定は、もうキヤベーヂといふ語を忘れてゐたので、唯『それを』と指さした。葱は
生憎
(
あひにく
)
一把もなかつた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
六月の二十三日と云ふのに海峡の夜風は
凍
(
こほ
)
る様に寒い。
生憎
(
あひにく
)
良人
(
をつと
)
も自分も外套を
巴里
(
パリイ
)
に残して来たので思はず身を
慄
(
ふる
)
はすのであつた。
仕合
(
しあは
)
せな事に浪は
全
(
まつた
)
く無い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
生憎
(
あひにく
)
タルボツト氏は
従来
(
これまで
)
一度も国祖の旧棲を訪ねた事が無いので、一寸方角が立たなくなつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
蒲田で乗換へた品川行の電車が
生憎
(
あひにく
)
混雑して居つて、腰をかける席もなかつた。種田君の病体では釣革をたよりに立つて居るのが苦しさうであつた。中途でしやがんだりしてやつと品川へついた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
聞て夫は忝けないが
生憎
(
あひにく
)
今日は少々
差掛
(
さしかゝ
)
りたる用事のあるゆゑ何れ又此後のことに致すべしと申しけるに辨慶は
打笑
(
うちわら
)
ひコウ/\文さん其樣に
稼
(
かせ
)
ぐには及ぶまじ今より
貰
(
もら
)
ひに出るには
遲
(
おそ
)
し是非々々來なせへと
忙
(
せは
)
しなく云ひければ文右衞門
否
(
いや
)
私
(
わた
)
しは今から稻葉丹後守樣の御屋敷まで參らねばならぬ用事が
有
(
ある
)
と云に辨慶は
猶
(
なほ
)
門口
(
かどぐち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
岡野氏はその前房州へ往つた折、うまい
松魚
(
かつを
)
を食はされたが、
生憎
(
あひにく
)
山葵が無くて困つた事を思ひ出して、出がけに
出入
(
でいり
)
の八百屋から山葵をしこたま取寄せる事を忘れなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
生憎
(
あひにく
)
檀那
(
だんな
)
は居ませんよ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“生憎”の意味
《名詞》
(古)ひとえに恨むこと
(出典:Wiktionary)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
憎
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
“生憎”で始まる語句
生憎様