“爺(ぢゞい)” の例文
いけ年(どし)を為(し)た爺(ぢゞい)が、女色(いろ)に迷(まよ)ふと思(おも)はつしやるな。持(も)たぬ孫(まご)の可愛(かあい)さも、見(み)ぬ極楽(ごくらく)の恋(こひ)しいも、これ、同(おな)じ事(こと)と考(かんが)えたゞね。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
渡船小屋は疎らな林の縁にあつて、此方から呼ぶと、爺(ぢゞい)が声に応じて出て来た。舟は渦を衝いて凄じく流れる。それを爺は巧に棹に撑(さゝ)へて、岸へ/\と近寄つて来る。
草津から伊香保まで (新字旧仮名) / 田山花袋、田山録弥(著)
八五郎につれて來られたのは、五十前後の喰(く)へさうも無い爺(ぢゞい)でした。
「へい、些(ちつ)と爺(ぢゞい)には似合(にあ)ひましねえ、村(むら)の衆(しゆ)も笑(わら)ふでがすが、八才(やつつ)ぐれえな小児(こども)だね、へい、菊松(きくまつ)つて言(い)ふでがすよ。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
續(つゞ)いて引掛(ひつかゝ)つたのが、同(おな)じ家(いへ)の子守兒(こもりつこ)で二人(ふたり)、三人目(にんめ)は、部屋頭(へやがしら)何(なん)とか云(い)ふ爺(ぢゞい)の女房(にようばう)であつた。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)