煮染屋にしめや)” の例文
四谷よつやとほりへ食料しよくれうさがしにて、煮染屋にしめやつけて、くづれたかはら壁泥かべどろうづたかいのをんで飛込とびこんだが、こゝろあての昆布こぶ佃煮つくだにかげもない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そうそう、まだその外に煮染屋にしめやとなったこともある」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
晃 土橋の煮染屋にしめやで竹の皮づつみとらかす、その方が早手廻はやてまわしだ。にしんの煮びたし、焼どうふ、かろう、山沢。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一軒いつけん煮染屋にしめやまへちて、買物かひものをして中年増ちうどしま大丸髷おほまるまげかみあまたんだる腕車くるまして、小僧こぞう三人さんにんむかうより來懸きかゝりしが、私語しごしていはく、ねえ、年明ねんあけだと。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
人形町居廻いまわりから築地辺、居酒屋、煮染屋にしめや出入でいり往復ゆきかえり、風を払ってしましたわ、すると大変。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……その時は町の方を歩行あるいて、通りの煮染屋にしめやの戸口に、手拭てぬぐいくび菅笠すげがさかぶった……このあたり浜から出る女の魚売が、天秤てんびんおろした処にきかかって、あたらしい雑魚に添えて、つまといった形で
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)