焦土しょうど)” の例文
ながあいだ自然しぜん栄枯盛衰えいこせいすいてきた、偉大いだいははである太陽たいようは、まちけて焦土しょうどとなったそのから、した見下みおろして、こういいました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
焦土しょうどとし、戦死、餓死者のかばねを山と積まなければ、勝敗が分らぬなどというものではございません。まず——一、二の戦場のやりとりを
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
電灯が点いてみると、全市を焦土しょうどと化してしまったかと思われた火災も案外、局部に限られていることが、判った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しからば友を後世に求めんとするは、焦土しょうどに樹木を求めんとする類であって全く無効であると。かくヨブは心に思った。ために失望が再び彼を襲わんとした。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
新羅三郎しんらさぶろう以来二十六せいをへて、四りん武威ぶいをかがやかした武田たけだ領土りょうどは、いまや、織田おだ徳川とくがわの軍馬に蹂躪じゅうりんされて、焦土しょうどとなってしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
“首都重慶じゅうけいは、昨夜、また日本空軍のため、猛爆をうけた。損害は重大である。火災は、まだまない。これまでの日本空軍の爆撃により市街の三分の二は壊滅かいめつし、完全なる焦土しょうどした。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼女をめぐる無数の男女の召使までも、また、太閤ののこしたあらゆる物も——愛情までも、その焦土しょうどへ投げこんでしまった。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「古記」によると、焦土しょうどとなるもの五百戸、人畜の死傷もおびただしく、曠野の空のいぶること七日七夜に及んだという。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、やっぱりここだ。戦とはさて皮肉なもの。都に焦土しょうどがふえる一方、ここらは逆に繁昌していたわけか」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父の領地りょうち焦土しょうどとなり、身は天涯てんがい孤児こじとなった伊那丸、さだめし口惜くやしかろう、もっともである。いずれ、家康もとくと考えおくであろうから、しばらくは、まず落ちついて、体を
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戦国の焦土しょうどから、徳川覇府の建設へと、政治的な幾変転が繰り返される間にも、文化の炬火きょかは、煌々こうこうと絶ゆることなく燃やし続けられたが、その文化けんの最も輝かしい光芒は、幽斎細川藤孝ふじたか
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちにあの元亀二年の兵燹へいせんで、かくの如くみな焦土しょうどとなってしもうた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)