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無之
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これなき
ふりがな文庫
“
無之
(
これなき
)” の例文
此段
御承引
(
ごしよういん
)
無之
(
これなき
)
に於ては、
仮令
(
たとひ
)
、医は仁術なりと申し候へども、神仏の
冥罰
(
みやうばつ
)
も恐しく候へば、検脈の儀
平
(
ひら
)
に御断り申候。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
毎度の文にて
細
(
こまか
)
に申上候へども、一通の
御披
(
おんひらか
)
せも
無之
(
これなき
)
やうに仰せられ候へば、何事も
御存無
(
ごぞんじな
)
きかと、誠に
御恨
(
おんうらめし
)
う
存上候
(
ぞんじあげさふらふ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
何やら
申聞
(
もうしきか
)
しをり候処へ、また一人の
侍
(
さむらい
)
息を切らして
駈
(
かけ
)
来り、以前の侍に向ひ、今夜の事は貴殿より
外
(
ほか
)
には屋敷中誰一人知るものも
無之
(
これなき
)
事に候なり。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕は長男にして家には
財産
(
ざいさん
)
と申すは少しばかりより
無之
(
これなき
)
身
(
み
)
に候う。親は僕に待っていること少なからざるべく候う。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
試験その他の事項に就いては追って御通知する。六月二十日深夜までにその御通知の
無之
(
これなき
)
場合は、断念せられたし。その他、個々の問合せには応じ
難
(
がた
)
い。
云々
(
うんぬん
)
。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
此度の件に就ては色々御心尽しを
忝
(
かたじけ
)
のうし、何と御礼申してよきやら、御礼の申上げようも
無之
(
これなき
)
次第、主は必ず小生に
成代
(
なりかわ
)
り、御先生の御心尽しの万分の一たりとも
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
この
躬恒
(
みつね
)
の歌、百人一首にあれば誰も口ずさみ候へども、一文半文のねうちも
無之
(
これなき
)
駄歌に御座候。この歌は
嘘
(
うそ
)
の趣向なり、初霜が置いた位で白菊が見えなくなる
気遣
(
きづかい
)
無之候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
爲
(
なし
)
つゝ賊難に
罹
(
かゝ
)
りたるは如何なる前世の
宿業
(
しゆくごふ
)
にやと
諦
(
あきら
)
め候より外に致し方
無之
(
これなき
)
と申立ければ越前守殿
假令
(
たとへ
)
弟十兵衞が何と申共一日や二日で
歸村
(
きそん
)
の成る
可
(
べき
)
所にも非らざれば
強
(
しひ
)
ても止むべきが兄たる者の
情
(
じやう
)
ならずや其方が
仕成
(
しなし
)
方甚だ以つて其意を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
されば本業の小説も近頃は廃絶の形にて本屋よりの催促断りやうも
無之
(
これなき
)
まま一字金一円と大きく
吹掛
(
ふっか
)
けを
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『新ロマン派』も十月号より購読致し、『もの想う葦』を読ませて戴き居候。知性の極というものは、……の馬場の言葉に、小生……いや、何も言うことは
無之
(
これなき
)
候。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この
躬恒
(
みつね
)
の歌「百人一首」にあれば誰も口ずさみ候えども、一文半文のねうちも
無之
(
これなき
)
駄歌に御座候。この歌は
嘘
(
うそ
)
の趣向なり、初霜が置いたくらいで白菊が見えなくなる
気遣無之
(
きづかいこれなく
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
十、十四日には又
澄見
(
ちようこん
)
参り、人質の儀を申し
出
(
いだ
)
し候。秀林院様御意なされ候は、三斎様のお許し
無之
(
これなき
)
うちは、如何やうのこと候とも、人質に出で候儀には同心
仕
(
つかまつ
)
るまじくと仰せられ候。
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
次にはまた、もし彼の金子今以て別条
無之
(
これなき
)
においては、天下の
通宝
(
つうほう
)
を無用に致し置く
訳
(
わけ
)
なれば、誰なりと取出し、勝手に遣へばよきものをといふ心にも相なり申候。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
但し
固
(
もと
)
より夢にては
無之
(
これなき
)
事に候間、とかくする中、東の空白みかゝり
塒
(
ねぐら
)
を離るゝ
鴉
(
からす
)
の声も聞え候ほどに、すこしは安心致し草むらの中より
這出
(
はいだ
)
し、崖下へ落ち候二人の侍
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
之
漢検準1級
部首:⼃
4画
“無之”で始まる語句
無之候
無之由
無之事
無之旨
無之筈
無之次第
無之候得者