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満目
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まんもく
ふりがな文庫
“
満目
(
まんもく
)” の例文
此頃のくせで、起き出る頃は、
毎
(
いつ
)
も
満目
(
まんもく
)
の
霧
(
きり
)
。雨だなと思うと、朝飯食ってしまう頃からからりと
霽
(
は
)
れて、申分なき
秋暑
(
しゅうしょ
)
になる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
終りには肩をすぼめて、恐る恐る歩行た。雨は
満目
(
まんもく
)
の
樹梢
(
じゅしょう
)
を
揺
(
うご
)
かして
四方
(
しほう
)
より
孤客
(
こかく
)
に
逼
(
せま
)
る。非人情がちと強過ぎたようだ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
本来醜美は自身の内に存するものにして、
毫末
(
ごうまつ
)
も他に関係あるべからず。いやしくも我が一身の内に美ならんか、
身外
(
しんがい
)
満目
(
まんもく
)
の醜美は以て我が美を
軽重
(
けいちょう
)
するに足らず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
蹉跌
(
さてつ
)
彼において何かあらん、彼は
蜻蜓州
(
せいていしゅう
)
の頭尾を踏み破りて、
満目
(
まんもく
)
の
江山
(
こうざん
)
にその
磊塊
(
らいかい
)
の気を養えり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この
砧
(
きぬた
)
の新村の初期には、野は
満目
(
まんもく
)
の
麦生
(
むぎふ
)
であり、空は未明から雲雀の音楽を
以
(
もっ
)
て覆われていた。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
晨
(
あした
)
に金光を
鏤
(
ちりば
)
めし
満目
(
まんもく
)
の雪、
夕
(
ゆうべ
)
には
濁水
(
じょくすい
)
と
化
(
け
)
して
河海
(
かかい
)
に落滅す。
今宵
(
こんしょう
)
銀燭を
列
(
つら
)
ねし
栄耀
(
えいよう
)
の花、暁には
塵芥
(
じんかい
)
となつて泥土に
委
(
い
)
す。三界は波上の
紋
(
もん
)
、一生は
空裡
(
くうり
)
の虹とかや。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
北は冬にでもなれば、
満目
(
まんもく
)
凡て雪に被われ、山も河も野も家も、凡て白一色に変ります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
葉の落ちた
闊葉樹
(
かつようじゅ
)
はもちろんのこと、雪に
蔽
(
おお
)
われた針葉樹にも、緑の色は全然見られない。この一点の緑もない世界、
満目
(
まんもく
)
唯
(
ただ
)
灰色一色の世界では、食糧の不安感が、ひしひしと人の心に迫る。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
干戈
(
かんか
)
満目
(
まんもく
)
交
(
こもごも
)
揮
(
ふる
)
う
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
二百十日の風と雨と煙りは
満目
(
まんもく
)
の草を
埋
(
うず
)
め尽くして、一丁先は
靡
(
なび
)
く姿さえ、
判然
(
はき
)
と見えぬようになった。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あたかも我が国
未曾有
(
みぞう
)
の家屋を新築するものにして、我輩
固
(
もと
)
より意見を同じうするのみならず、敢えて発起者中の一部分を以て自ら
居
(
お
)
る者なれども、
満目
(
まんもく
)
焔々
(
えんえん
)
たる大火の消防に
忙
(
せ
)
わしくして
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
満目
(
まんもく
)
恰
(
あたか
)
も造化の秘密に囲まれて
唯
(
ただ
)
人智の浅弱を嘆ずるのみなれども、いよ/\進んでいよ/\深きに達し、
曾
(
かつ
)
て底止する所を知らざるも
亦
(
また
)
是
(
こ
)
れ人生の約束なれば、勇を鼓して知見の区域を
拡
(
ひろ
)
め
人生の楽事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
満
常用漢字
小4
部首:⽔
12画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“満目”で始まる語句
満目碧玉
満目荒涼