すみ)” の例文
旧字:
お嬢様、どうしたものでございますね。御婚礼のお目出度めでたいに、泣いていらしっちゃあすみません。まあ、涙を拭いて、婿様をお見上げ遊ばせ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白粉おしろいつけて衣類きものきて迷ふて来る人をれかれなしに丸めるがあの人達が商売、ああれが貧乏に成つたからかまいつけてくれぬなと思へば何の事なくすみましよう
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御迷惑かけてはすみませぬ故どうか御帰りなされて下さりませ、エヽ千日も万日も止めたき願望ねがいありながら、とあとの一句は口にれず、薄紅うすくれないとなって顔にあらわるゝ可愛かわゆ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
永々なが/\御恩を受けたお屋敷の若様だからんなにもして上げなければならん、と死際しにぎわに遺言して亡なりましたが、貴方が若様なれば何うか此方こちらへ一晩でもお泊め申さんではすみませんから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
不図又文三の言葉じりから燃出して以前にも立優たちまさる火勢、黒烟くろけぶり焔々えんえんと顔にみなぎるところを見てはとても鎮火しそうも無かッたのも、文三がすみませぬの水を斟尽くみつくしてそそぎかけたので次第々々に下火になって
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
嫉妬しっとの勢いすさまじきに大原も途方にくれ「ナニ少し御馳走ごちそうになっていたものですから遅くなったのです。途中まででもお出迎いに参らなければすみません」お代嬢「すむすまないもあるもんか自分がすきであの子と狂い廻っていた癖に。あの子が大事か、親が大事か、満さんに解んねいか」
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
まさか推して子爵の婿になろうとの思召おぼしめしでも御座るまいが、夫婦約束までなさったとて婚礼のすみたるでもなし、お辰様も今の所ではあなたを恋しがって居らるゝ様子なれど
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何うもすみませんとか有難うござるとかいう一口が揚代一本になるんですからねえ。
それは私が悪う御座りました、私が悪いに相違ござんせぬけれど、それは兄様にいさまが、兄が、ああ誰れにもすみませぬ、私が悪う御座りましたゆるして免してと胸を抱いて苦しさうに身をもだゆれば
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)