流産りうざん)” の例文
その時分じぶん夫婦ふうふ活計くらしくるしいつらつきばかりつゞいてゐた。宗助そうすけ流産りうざんした御米およねあをかほながめて、これ必竟つまり世帶しよたい苦勞くらうからおこるんだとはんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いゝえ、まあ、ながしたはうは、おどく娑婆しやば一人ひとり流産りうざんをしませうけれど、そんなことよりおまへさん、はしわたらないまへだと、まだうにか、仕樣しやう分別ふんべつもありましたらうけれど、氣短きみじか飛越とびこしてしまつてさ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
福岡ふくをかうつつてからもなく、御米およねまたいものをたしひととなつた。一度いちど流産りうざんするとくせになるといたので、御米およねよろづ注意ちゆういして、つゝましやかに振舞ふるまつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)