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りうざん
其時分の
夫婦の
活計は
苦しい
苛い
月ばかり
續いてゐた。
宗助は
流産した
御米の
蒼い
顏を
眺めて、
是も
必竟は
世帶の
苦勞から
起るんだと
判じた。
否、まあ、
流した
方は、お
氣の
毒な
娑婆で
一人流産をしませうけれど、そんな
事よりお
前さん、
橋を
渡らない
前だと、まだ
何うにか、
仕樣も
分別もありましたらうけれど、
氣短に
飛越して
了つてさ。
福岡へ
移つてから
間もなく、
御米は
又酸いものを
嗜む
人となつた。
一度流産すると
癖になると
聞いたので、
御米は
萬に
注意して、つゝましやかに
振舞つてゐた。