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洞
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うつろ
ふりがな文庫
“
洞
(
うつろ
)” の例文
樅
(
もみ
)
の木である。此境内にたつた一本ある樅の木である。口碑から云へば百五十年以上の老木である。根元の
洞
(
うつろ
)
に、毎年熊蜂が巣を作る。
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
又その根の半分枯れたところに
洞
(
うつろ
)
があって、深さ六、七寸、それが怪物の口であろう。ゆうべの灰と火がまだ消えもせずに残っていた。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まるで大きな
洞
(
うつろ
)
の口のように暗く開いて居るので、其処から引返して、がらんとした
角
(
かど
)
の茶亭の白けた灯を右に見て、高台寺の方へ歩いて行く。
六日月
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
また白紙の札に妙な
梵字
(
ぼんじ
)
ような字で呪文が書いて
貼
(
はっ
)
てある。鍋被の女には歯というものがないようだ。
何
(
いず
)
れも虫が食ってしまったらしい。
口中
(
こうちゅう
)
は暗い
洞
(
うつろ
)
である。
櫛
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
上瞼
(
うわまぶた
)
が弓形を作り、下瞼が一文字をなした、潤みを持った妖艶な眼は、いわゆる立派な毒婦型であったが、今はその眼が
洞
(
うつろ
)
のように、光もなく見開かれていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
その啄木の戦法というのは
樹体
(
じゅたい
)
の
洞
(
うつろ
)
にふかく隠れ、容易に外に出てこない虫の
群
(
むれ
)
を、樹皮の側面から嘴でたたいて
怯
(
おび
)
えた虫の群がぞろぞろ表面に出てくるところを
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
餞別
(
せんべつ
)
というほどでもねえが、裏街道を通って
萩原入
(
はぎわらい
)
りから大菩薩峠を越す時に、峠の上の妙見堂から
丑寅
(
うしとら
)
の方に大きな栗の木があるから、その
洞
(
うつろ
)
の下を五寸ばかり掘ってみてくれ
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こうしてまっ黒な口をあけながら物も言わぬ形を見ているうちには、さっきまでなりひびいた声より幾倍か恐ろしい邪婬の呻きが、煙のような渦をまいてあの
洞
(
うつろ
)
からきこえてくるわ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
「いまも京町さんと話をして居たことです。ソフトカラーをしているお互いは、ネクタイで締められないように
用心
(
ようじん
)
が
肝要
(
かんよう
)
だとナ。ハッハッハッ」先生は
洞
(
うつろ
)
のような声を出して笑った。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蒼白い顏や、
痙攣
(
けいれん
)
する唇や、
洞
(
うつろ
)
な眼から、平次は事件の重大さを一ぺんに見て取つたらしく、何よりこの娘の心持を鎭めて、その口から出來るだけの事を引出さなければと思ひ込んだのです。
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
洞
(
うつろ
)
のやうな咆哮を立ててゐるかと思ふと、今度は梟の鋭い鳴聲をさせて、小さなひゆう/\いふ音を立てて、底意のある意地惡さでもあるやうに、耳許へ一層低くその嚇しを繰り返してゐた。
氷島の漁夫:01 氷島の漁夫
(旧字旧仮名)
/
ピエール・ロティ
(著)
竹を割った中身があまりに
洞
(
うつろ
)
すぎる寂しさ。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
われは今 わが心の
洞
(
うつろ
)
を眺む。
画家の午後
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
そこらにいた人たちの話では、その蛇は銀杏の
洞
(
うつろ
)
のなかに棲んでいたものだろうということで、勿論その女に関係はないのでしょうが、なにしろ若い女が髪をふり乱して倒れている。
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蒼白
(
あおじろ
)
い顔や、
痙攣
(
けいれん
)
する唇や、
洞
(
うつろ
)
な眼から、平次は事件の重大さを一ぺんに見て取ったらしく、何よりこの娘の心持を鎮めて、その口から出来るだけの事を引出さなければと思い込んだのです。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女の声も
洞
(
うつろ
)
であった。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
洞
常用漢字
中学
部首:⽔
9画
“洞”を含む語句
空洞
洞窟
洞察
洞穴
大洞
洞然
洞簫
洞中
曹洞宗
仙洞御所
洞声
洞道
洞院
西洞院
洞察力
洞庭
洞門
洞庭湖
東洞院
琅玕洞
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