泣悲なきかな)” の例文
委敷くはしく物語ればお花は元より友次郎も夢かとばかり打驚き涙は落て瀧の如く中にもお花は心もみだるゝばかりに泣悲なきかなしみ暫時しばし正體しやうたいも非ざりしが何思ひけん友次郎が脇差わきざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これ、佐藤次信さとうつぎのぶ忠信たゞのぶ兄弟きやうだいつま二人ふたりみやこにて討死うちじにせしのち、はゝ泣悲なきかなしむがいとしさに、をつと姿すがたをまなび、ひたるひとなぐさめたる、やさしきこゝろをあはれがりてときひと木像もくざうきざみしものなりといふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もすべきに御不運にて御早世ごさうせいなりしは返す/″\も殘念ざんねんなりとひと泣悲なきかなしむもことわりとこそきこえけれ扨も八代將軍には或時御側御用おそばごよう取次に御尋おんたづね有やうは先年せんねん勢州せいしう山田奉行を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おとし忽ち産後さんごあがり是も其夜の明方あけがた相果あひはてければあとのこりしお三婆は兩人ふたり死骸しがいに取付天をあふぎ地に泣悲なきかなしむより外なきは見るもあはれの次第なり近邊きんぺんの者どもばゝ泣聲なきごゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)