水蒸氣ゆげ)” の例文
新字:水蒸気
かれ仕方しかたなしに小鍋こなべ火鉢ひばちけた。かれかすかにしろ水蒸氣ゆげなべからはじめたとき玉杓子たまじやくしてゝつてたが猶且やつぱりつめたかつた。かれ火鉢ひばち麁朶そだして重箱ぢゆうばこめしなべれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
インキ瓶を火鉢に縁に、載せて、瓶の口から水蒸氣ゆげが立つ位にして置いても、ペンにふくんだインキが半分もなくならぬうちに凍つて了ふ、葉書一枚書くにも、それは/\億劫なものであつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
與吉よきち遠慮ゑんりよもなくぜんむかつたのである。卯平うへい飯臺はんだいふたけてたが暖味あたゝかみがないのでかれ躊躇ちうちよした。茶釜ちやがまふたをとつてたが、ふたうらからはだら/\としたゝりがれてわづかに水蒸氣ゆげつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれまた悠長いうちやう茶碗ちやわんをとつてよごれた部分ぶゞんでこすつて、さら茶釜ちやがま熱湯ねつたうそゝいであしもとのはひけた。ふたをとつたのでほう/\と威勢ゐせいよくつて水蒸氣ゆげがちら/\としろつてちるはひうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)