毛布もうふ)” の例文
ばったり であった ひつじかいのおかみさんから、ごわごわの毛布もうふをはぎとって、それを、おうさまのところへ もってかえってきました。
四人は四日分の食料しょくりょう準備じゅんびした、めいめい一ちょうの旋条銃せんじょうじゅうと、短じゅうをたずさえ、ほかにおの磁石じしゃく望遠鏡ぼうえんきょう毛布もうふなどを持ってゆくことにした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そして自分で出かけて行って、しなもあろう事かまっ毛布もうふを一枚買って帰って来た。葉子はとうとうを折って最終列車で東京に帰る事にした。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
やがてかれが陸軍大将りくぐんたいしょう軍服ぐんぷくを着て、手足をいっぱいにつっぱったまま、毛布もうふの上に横になっているのを見た。かれはねむっているように見えた。
かさをかぶったひと毛布もうふ人々ひとびとが、トラックがくるとあわててみちひらいて、どろのとばしりをかけられまいとして、うらめしそうに見送みおくるのでした。
東京の羽根 (新字新仮名) / 小川未明(著)
シューラは素早すばやくはねきて、毛布もうふゆかへおっぽりすと、はだしでつめた床板ゆかいたをぱたぱたと大きくらしながら、ママのところへんでき、いきなりこうわめいた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
にわかに戸があいて、赤い毛布もうふでこさえたシャツをわか血色けっしょくのいい男がはいって来ました。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
トランプをしていた者は、トランプを毛布もうふのうえにたたきつけ、古雑誌を読んでいたものは折目をつけてページをとじ、いずれも寝台からいそいでとび下り、食堂の方へ走って行った。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その上常子に見られぬように脚の先を毛布もうふに隠してしまうのはいつも容易ならぬ冒険である。常子は昨夜ゆうべ寝る前に『あなたはほんとうに寒がりね。腰へも毛皮を巻いていらっしゃるの?』
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かけ物の毛布もうふはうまやから、もう古くなって馬が着てもあたたかくなくなったようなしろものを、持って来たにちがいない。
守備をかためた年長組は思わず耳をおおい、地にふし、幼年組は寝台にとびこんで、毛布もうふのなかに頭をつきこんだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
(ふむ。——いや、それにもおよばん。毛布もうふをよくかけといてやれ)
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
毛布もうふはよく温まっていた。それで小ざるはその中にくるまれて、親方のチョッキの下のすぐむねに当たる所へ入れられた。わたしたちの仕度ができた。
年少者はいずれも毛布もうふを頭からかぶって、うつぶせになった、すると富士男はふたたびトンネルから出てきた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
明かりがただ二つ三つまどに見えた。マチアとわたしは毛布もうふの下にもぐった。しばらくのあいだ寒い風がふいていた。くちびるにしたを当てると、しおからい味がした。
もうわたしの正気はうしなわれかけていた。ちょうどきわどいところであった。けれどまだ運ばれて行くという意識いしきだけはあった。わたしは救助員きゅうじょいんたちが水をくぐって出て行ったあとで、毛布もうふつつまれた。