母様かあさん)” の例文
旧字:母樣
母様かあさんが若し間違つたことをして居たらおまへは注意をしてくれなければならないぢやないの。母様かあさんのして居ることは百姓ですよ。
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
『オヤオヤ今度は母様かあさんがしかられましたよ、ね坊や父様が、「やかましッ」て、こわいことねえ、だから黙ってねんねおし』
初孫 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
円い透硝子すきがらすの笠のかかった、背の高い竹台の洋燈ランプを、杖にく形に持って、母様かあさん居室いまから、と立ちざまの容子ようすであった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母様かあさんが出て来なさって「まあ、そうでおまッか、あんまり帰りがおそいのでたった今お宅様い電話したとこでしてんわ」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
実はわたしは貴下のお母様かあさんから言ひつかつて、天へお迎へに来ましたが、わしの為めにサン/″\羽や身体からだをいためられて、自分だけ低い空をとぶのがやつとでございます。
子良の昇天 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
狂風一陣こずゑをうごかしてきたる気の立つた折には、父様とうさん母様かあさん兄様にいさんも誰れも後生ごしよう顔を見せて下さるな、とて物陰にひそんで泣く、声ははらわたを絞り出すやうにて私が悪う御座りました
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
Cさんはいつものように御飯のお仕度をしまって置いて、お母様かあさんのお薬を買いに町へいらしたの。その帰りに、Cさんの事だから歴史のおさらえをしながら歩いていらしたんでしょう。
大きな手 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
花ちゃんの母様かあさんの顔になるかと思うと、太郎には萩原の婆さんの顔に見え、花子にはやさしい叔母さんの姿に見えるかと思うと、太郎には勇の泣顔に見えて、花ちゃんは余りの慕わしさと
百合の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と手紙を見い見いせわしそうに云う。いかにもここで膳を出したはじめには、小児こどもが二人とも母様かあさんにこびりついて、坊やなんざ、武者振つくいきおい
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母様かあさん姉様ねえさんのおうちが危いから行つて来ます。お父様とうさんももうおいでになつたのです。うちは大丈夫だから安心しておいで。」
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ほら、Cさんのお母様かあさんは御病気でいつも床に就いていらっしゃるのでしょう。
大きな手 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
(文造)結婚するツて、お父様とうさんやお母様かあさんは其れをお許しになるでせうか。
さしむき今日あたりは、飛石を踏んだまま、母様かあさん御飯、と遣って、何ですね、唯今ただいまも言わないで、とたしなめられそうな処。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何処どこの国に親が帰つて来て孤独になる子がありませうか。母様かあさんところけと云つてはその一番可愛い佐保子さほこの頭をおうちになる音を私にお聞かせになりました。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
先生はこんな顔だちどないお考えになりますか? 日本髪よう似合うてますやろ?——はあ、お母様かあさん日本髪好きやとかいうことで、ときどきやはりまして、学校いもその頭で来やはりましてん。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「お母様かあさん、いってもいいでしょうねえ」
街の子 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
突掛つッかかるように刎附はねつける、同じ腕白夥間なかまに大勢馴染なじみが出来たから、新仕込のだんべいか何かで、色も真黒まっくろになった。母様かあさんがまたこれを大層喜んでいたもんです。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
向うのへやはたを織つておいでになつた楠さんの母様かあさんも出て来て私をいたはつて下さいました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「ああ、お母様かあさんだ!」
街の子 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
「髪を切つてお芝居のやうなことをするよりもわたしのすることは、母様かあさん、あつたのですよ。」
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
私は顔を覆ふて泣きました。でも母様かあさんが生き返つて来たから好かつたではないかと私は云つて慰めました。生き返ることの出来ないところにそれが行つて居たのでしたらどうでせう。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
私のうちの中よ、別になつて居ますけれど。それからね、その叔母さんもあるのですよ、その人はものを云はない人よ。叔母さんは母様かあさんが私を大阪へれていらつしやる時には本家へ来て留守番を
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
唯今ただいま母様かあさん、こんな遅くまでよくまあお仕事。」
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
母様かあさん目の見えない人が居ましたね。』
六日間:(日記) (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
『顔も綺麗な綺麗な人ね、母様かあさん。』
六日間:(日記) (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)