死骸むくろ)” の例文
それならばしかじか斯々かくかくじゃと言う出家の話から騒ぎが大きくなってすぐに人が飛ぶ、谷底から死骸むくろが運ばれて来る。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
下男共げなんどもて、かれ手足てあしり、小聖堂こせいだうはこつたが、かれいまめいせずして、死骸むくろだいうへ横臥よこたはつてゐる。つてつき影暗かげくらかれてらした。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
とらへてくれう。……やい、モンタギューめ、破廉恥はれんち所行しょぎゃうめい。うらみ死骸むくろにまでおよぼさうとは、墮地獄だぢごく人非人にんぴにんめ、引立ひきたつる、尋常じんじゃういてい。けてはおかぬぞ。
狼藉ろうぜきえりし死骸むくろてられたらむように、婦女等おんなたちさんを乱して手荷物の間によこたわれり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いかさま男女とりまぜて、八人の溺死人が海岸の砂に、その死骸むくろをさらしている。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
次にかめ、(これこそ死骸むくろ、)
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
死骸むくろのみか黒に冷えぬ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
下男共げなんどもて、かれ手足てあしり、小聖堂こせいどうはこったが、かれいまだめいせずして、死骸むくろだいうえ横臥よこたわっている。ってつき影暗かげくらかれてらした。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……技量うでに自信がありましたからで。わざに誇りがありましたからで。……屈折されて自信を失い、誇りを奪われた只今では、熱も希望も消えました。……残ったは生ける死骸むくろだけでござる。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
えし死骸むくろ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
「乞食よ、安心せ、大塔宮様は、村上義光殿お身代わりになり、御自身おんみずからにはこの道より、高野へお落ち遊ばされたわ。……そちの足もとに死骸むくろとなって、横仆よこたわっている若武者こそ、義光殿のご子息義隆殿じゃ!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)