正午しょうご)” の例文
あいづちをうつごとく、どこかの工場こうばから、正午しょうご汽笛きてきりひびきました。少年しょうねんは、これを機会きかいに、おかりたのでした。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
道と空との間にただ一人我ばかり、およそ正午しょうごと覚しい極熱ごくねつの太陽の色も白いほどにえ返った光線を、深々といただいた一重ひとえ檜笠ひのきがさしのいで、こう図面を見た。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
船は正午しょうごに門司を出ました。風のない春の日で、海はおだやかでした。船はすべるように進みました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
一千九百二十六年六月十四日 今日はやっと正午しょうごから七時まで番水ばんすいがあたったので樋番といばんをした。何せ去年きょねんからのおおきなひびもあるとみえて水はなかなかたまらなかった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
正午しょうごじぶんに、ぼくたちはまち国民学校こくみんがっこうについた。昨日きのうのところになつかしいごんごろがねはあった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
あさのうちは、電車でんしゃのつくたび、りするものがはげしいので、新聞しんぶんもよくれたが、正午しょうごちかくなると、うものが、あまりなかったのです。
かざぐるま (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ、正午しょうごにもならぬうちから、はたしてあめしました。はじめはこまかで、にはいらぬくらいでしたが、だんだん本降ほんぶりになってきました。
おきくと弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて正午しょうごになると、ちかくの工場こうじょうから、汽笛きてきがきこえます。すると一どうやすめて、昼飯ひるめしべる用意よういをしました。それからの一時間じかんは、はたらく人々ひとびとにとって、なによりたのしかったのでした。
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)