づえ)” の例文
ところがこの禿の奴、一本のニス塗りのステッキを持っていて——それこそ阿Qに言わせると葬式の泣きづえだ——大跨おおまたに歩いて来た。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
そして眼には、大きな黒い眼鏡をかけ、いままで崩れた土塊をおこしていたらしく、右手には長い金属製のとんがづえをもっていた。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それらは現実だったのだ。なぜなら彼女にとって現実だったから……。おう、夢想の魔法づえに変容させられるあわれな生活よ!
秤に分銅を縛ってあったというから、こいつは恐ろしい得物だ、手もなく宝山ほうざん流のづえ
まどもとなる小机に、いま行李こりより出したるふるき絵入新聞、つかひさしたるあぶらゑの錫筒すずづつ、粗末なる烟管キセルにまだ巻烟草まきタバコはしの残れるなど載せたるその片端に、巨勢はつらづえつきたり。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
バオレルはカラビン銃を持っていた。クールフェーラックは仕込しこづえを抜いて振り回していた。フイイーはサーベルを抜いて、先頭に立ちながら叫んでいた、「ポーランド万歳!」
紙帳のことは『浅間あさまだけ』という、くさ双紙ぞうしでおなじみになっている、星影土右衛門という月代さかゆきのたったすごい男が、六部の姿で、仕込みづえをぬきかけている姿をおもいだし、大きな木魚面の
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
また危機を脱するちからづえともなるという。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ですから、そのそばづえが、万一奥様のお身にあたるようなことがあれば、あたくしは、どんなにか心ぐるしいのでございます。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
身をささえる文学の松葉づえが、彼らには必要だった。おかしな松葉杖だ! クリストフは、彼らが描こうとしてる主題のおかしなほど幼稚なのを、見て取った。
仕込みづえや銃や二梃にちょうの騎馬用ピストルや一梃のポケット・ピストルなどを、まるで武器箱をひっくり返したようにして、若い娘が小さな裁縫箱を片づけるような注意でそれを整理していた。
これで、もう二分間おそければ、平靖号も、そばづえをくらって、船体はばらばらに壊れてしまい、虎船長以下、竹見も丸本も、今ごろはしかばねになっていたかもしれない。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「われわれ蠅族も、そばづえをくらって、かなりたくさん殺されたね」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)