本町ほんちやう)” の例文
年表には「東風にて西神田町一圓に類燒し、又北風になりて、本銀町ほんしろかねちやう本町ほんちやう石町こくちやう駿河町するがちやう室町むろまちの邊に至り、夜下刻げこくしづまる」
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
その時分から、十歳年齢としの下の弟が生れたので、これを背負つて、夕方、母の代りに、本町ほんちやうから骨屋町ほねやまちへ、惣菜を買ひに行つた。
まへのは砲兵工廠はうへいこうしやうけたときで、つゞいて、日本橋にほんばし本町ほんちやうのきつらねた藥問屋くすりどひやくすりぐらが破裂はれつしたとつたのは、五六日ごろくにちぎてのこと
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
断つて置く、此町の隣が密淫売町ぢごくまち大工町だいくちやうで、芸者町なる本町ほんちやう通も程近い。花郷が宿は一寸職業の知れ難い家である。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
じつはね情死しんぢゆうそこなひました、相手あひて本町ほんちやう薬屋くすりやの息子さんで、二人とも助かりまして品川溜しながはだめあづけられて、すんでに女太夫をんなたいふに出るところをいゝあんばいにけてこゝにてゐますが。
おなじく二日ふつかまちひて、初湯はつゆんである風俗ふうぞく以前いぜんありたり、いまもあるべし。たとへば、本町ほんちやう風呂屋ふろやぢや、いた、がわいた、とのぐあひなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)