まつり)” の例文
「天上地下、ただ徳ある者が、これを保ち、これをまつりするは当然、あに、荊州を領する者、汝の主孫権でなくてはならぬという法があろうかっ」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まつりごとに対して不満を持つ者はなかつた。
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
まつりちやううしなひし
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
室町の柳営は、絢爛けんらん廃墟はいきょに似ていた。足利十三代の間になし尽した将軍たちの逸楽いつらく豪奢ごうしゃと、独善的なまつりの跡を物語る夢の古池でしかなかった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かみおんみずから、親しく諸政をみそなわす儀は、うごかざるまつり大本たいほんとして、その下における武門の統御とうぎょのみを、尊氏におゆだねあらせられるぶんには」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「二度とはいたすまい。窮民どものよろこびも、それにれさせたら、それは却って、まつりる者のとがとなる」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし天下に今日のまつり怨嗟えんさするものがあれば、それは魏という幕府の専横にほかならぬことを、天人共によく知っておろう。たれか朕をうらみ、漢朝の変をねがおうや
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これで地に人間の争いがなく、宋朝そうちょうまつり腐爛ふらんさえなければ、この世はそっくり天国なのだが。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのままついとお帰りあって、妻に会い、子を抱えてごらんぜよ、また、役所にあってまつりを見られるがよい——そしてふと思い出されるごとに、また、こうして念仏されい。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老公が職におられた時から、暗に老公のご献策をさまたげて、ご退職後は、わが世の春と、いよいよ思うままに綱吉つなよし将軍の歓心を捉え、まつりごとをわたくしせんとしている人間がある。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、中央に栄華して、歌をよみ、恋に暮し、まつりの大計は何もなく、ただ地方の百姓や家族へ、米や絹の租税の催促ばかり知っていた藤原氏自身が、ついにかもしたものだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ならば、王政一新の実はどこにおくか。幕府をめ、まつりいにしえかえすなどは空名になる」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうだ、わしは奥の棟へ行って、おぬしの子や妻たちを抱え出して進ぜるほどに、おん身は代官として、おおやけの文書や、印鑑、絵図など、まつりる大事なものを火の裡から持ち出されい
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤原氏がまつりの権を執っていたが、文化的には功績を残しても、その文化はやがて頽廃的たいはいてき懶惰らんだ爛熟らんじゅく末期まつごを生んできたばかりか、藤原一門自体が、ただ自己を栄華し、私腹をこやし、この世は
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(もはや義元も大人おとなに成り申したれば、治国のまつりについても、軍議の方策についても、構えてお案じ下さるまい。長老には、余生を充分に楽しまれて、専ら道風の御宣布に心をおそそぎあるがよい)
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まず、まつりを正すことが、国の強大を計る一歩である」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旧主先皇のまつりにもしたがわず
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)