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撫付
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なでつ
ふりがな文庫
“
撫付
(
なでつ
)” の例文
見た処は強そうな、散髪を
撫付
(
なでつ
)
けて、肩の幅が三尺もあり、腕などに毛が生えて筋骨
逞
(
たくま
)
しい男で、
一寸
(
ちょっと
)
見れば名人らしく見える先生でございます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あんまり急いだもんだから、髪なんぞ
撫付
(
なでつ
)
けていられなかったのよ。
酔払
(
よっぱらい
)
で仕様がないお客なのよ。」
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
新しい艶のある洋服を着て、
襟飾
(
えりかざり
)
の好みも
煩
(
うるさ
)
くなく、すべて
適
(
ふさ
)
はしい風俗の
中
(
うち
)
に、人を
吸引
(
ひきつ
)
ける
敏捷
(
すばしこ
)
いところがあつた。美しく
撫付
(
なでつ
)
けた髪の色の黒さ。頬の若々しさ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
白髪
(
しらが
)
を
合総
(
がっそう
)
に取り上げた
撫付
(
なでつ
)
け
髷
(
まげ
)
、品も威もある風貌、いわば幾とせの霜を経た梅の古木のおもかげでこの玄鶯院と名乗る
老翁
(
おやじ
)
、どうもただの隠者とは受け取れない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
糸織の
衿懸
(
えりか
)
けたる
小袖
(
こそで
)
に
納戸
(
なんど
)
小紋の縮緬の羽織着て、
七糸
(
しつちん
)
と
黒繻子
(
くろじゆす
)
との昼夜帯して、
華美
(
はで
)
なるシオウルを携へ、髪など
撫付
(
なでつ
)
けしと
覚
(
おぼし
)
く、
面
(
おもて
)
も見違ふやうに軽く
粧
(
よそほ
)
ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
気がつきて水を呑むとき両手で
柄杓
(
ひしゃく
)
を押へ、首を持つていく工合真に
逼
(
せま
)
り、白紙を出して
髷
(
まげ
)
を
撫付
(
なでつ
)
くるも女の情にて受けたり。
斯様
(
かよう
)
な色気のあるものになりては福助も及ばず、半四郎後一人なるべし。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
そのほか中老は
撫付
(
なでつ
)
けといって今のオールバック。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
緩
(
ゆる
)
く波打てる髪を左の
小鬢
(
こびん
)
より一文字に
撫付
(
なでつ
)
けて、少しは油を塗りたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
唯
(
と
)
見
(
み
)
ればお妾は新しい手拭をば
撫付
(
なでつ
)
けたばかりの髪の上にかけ、下女まかせにはして置けない
白魚
(
しらうお
)
か何かの料理を
拵
(
こしら
)
えるため台所の板の間に膝をついて
頻
(
しきり
)
に
七輪
(
しちりん
)
の下をば
渋団扇
(
しぶうちわ
)
であおいでいる。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それも
髪結
(
かみゆい
)
さんが結ったのではない、自分で
保
(
もち
)
のよいように結ったのへ
埃
(
ごみ
)
が付いた上をコテ/\と油を付け、
撫付
(
なでつ
)
けたのが又
毀
(
こわ
)
れましたから
鬢
(
びん
)
の毛が顔にかゝり、湯にも入らぬと見えて
襟垢
(
えりあか
)
だらけで
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
撫
漢検準1級
部首:⼿
15画
付
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“撫”で始まる語句
撫
撫子
撫肩
撫育
撫下
撫養
撫民
撫斬
撫順
撫然